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目の前の壁
とらうま
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ジュエルシードを封印しなければと。自分が発掘してしまった禍の元凶を封印しなければと。

運が、悪かったとしか言いようが無い。
もし彼女に、その身に宿る不相応な魔力さえ無かったら。
フェレットが、加えていたルビーの様な赤く丸い玉を投げ渡す。次の瞬間、ユーノは「何か」の鉤爪で切り裂かれ吹き飛ばされ、レイジングハートは高町なのはの手の中に収まった。
ギロリ。
そんな擬音語が似合いそうに、「何か」は視線をなのはに変えた。本能的に感じ取った。
――アレヲホショクセよ――
なのはの潜在的な魔力に生存本能を刺激され、「何か」は触手を少女に伸ばした。
しかし、彼女の魔力に目を付けたのは「何か」ばかりでは無い。人口知能でありながら人の心を解し、少女の力に為りたいとと願ったインテリジェントデバイス「レイジングハート」も彼女の魔力に目を付けた。
結果
“Round Sealed ”
その力を限定的ながら行使した。
「きゃあああああ!」
しかし、少女の身を守ることは出来ても、その恐怖を和らげる事は叶わない。シールドにおぞましい触手が絡みつく。
パキンと、桜色の盾にヒビが入っていく。
「あ、ああ……」
恐怖で上手く舌が回らない。しかし、状況は無情に悪化していく。
人工知能を振り絞り、レイジングハートは考える。このままでは、自分は破壊され少女も死ぬ。それは駄目だ。ならばどうする?決まっている。
突如として桜色の魔法陣が展開される。強制型契約陣。それがこの魔法陣の名だ。名の通り、これは人がマスターに成るための陣では無い。
デバイスが従者に成るための陣だ。
総ての行程を簡略化し、省略してプロセスが進行していく。
「な、何!?」
ただ怯えるしか無い少女を置いてぼりにして。
理性を持たない筈の「何か」を本能的に怯えさせる魔力を撒き散らしながら行程は進んでいく。
そして、
“Stand by ready , set up”
此処に契約は完了した。
少女を助ける方法?自身では簡易魔法を使うだけで手一杯なレイジングハートにはこうするしかなかった。
即ち、一緒に戦う。ただそれだけだ。
なのはの服が分解され、新たなバリアジャケットが身を覆う。白を基調とした優しい服が、星の魔術師を創りあげる。
同時に、なのはの頭の中に大量の情報が一気に流れ込む。
魔法の事。ジュエルシードの事。魔法の運用の仕方。レイジングハートに蓄積された戦闘経験。それら一切が例外無く、なのはに流れ込んだ。
「い、痛い……」
頭を抱え、踞る。
「何、これ?」

泣きながら周りを見渡し、自分の姿を確認する。
「何で……」
目の前の敵と目が合う。ニタリと笑った、ような気がした。
「私なんかが……」
呪う。運命を。
知識の海が津波のように脳を侵食した時に悟ってし
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