第五夜 東風谷早苗は灰かぶり
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除をして頭いっぱいに埃をかぶっていたわ」
神奈子が言った。神奈子の髪型は青紫色のボリュームのあるショートで、服装は赤色のふっくらとした半袖に臙脂色のロングスカートであった。色気のある美人である。
「バーはどんな方も歓迎しますよ」
「私達がどう言っても聞かないのだよ、 どうやらバーにいいイメージを持っていないらしい」
諏訪子がため息をついた。
「外の世界ではバーは入りずらいですからね……一回入れば考えも変わるんだけどな」
悠は腕を組んで考えるように言った。
「私が連れてくるよ!」
「たしかに、 あの娘は魔理沙のことは気に入ってるから来るかもね」
神奈子が嬉しくなさそうに言った。
――飲み比べは紫が勝ったようだ。
後日魔理沙が東風谷早苗を連れてきた。緑の長髪にカエルとヘビを模した髪飾りをつけていた。巫女と聞いていたので、霊夢のような服を予想したが、その通りであった。色が霊夢と違い白と緑である。早苗は悠を見て少し驚いたようだった。
「あら、店主は妖怪じゃないのね?」
心外であった。
「村人の噂だと妖怪になっているわよ、 幽香やチルノ、河童とよく一緒にいるから」
あなたが人間と知っていたらもっと早く来たのに……とそうも付け加えた。諏訪子達の話から早苗は大人しい娘だと悠は勝手に想像していたが、どうして遠慮のない娘であった。後から聞いた話だが早苗は人間の話し相手が欲しかったらしい。
「仕入先なので……」
「へぇ〜、電気もあるしすごいのね〜」
早苗は店内を見渡していた。
「言った通りだろう」
魔理沙が嬉しそうに言った。早苗を挟んで座っている諏訪子と神奈子も嬉しそうである。
「でも、私アルコール類は苦手なのよ」
「はい、 そんな人にお勧めのカクテルがあります」
悠はシェーカーに氷と材料を数種類いれシェイクした。早苗はその手の動きを興味深そうに見ていた。
「どうぞ、 シンデレラです」
悠が差し出したカクテルは薄く白く濁ったオレンジ色のものであった。カクテルグラスにはカットしたパイナップルと輪切りにした果物が飾ってあった。果物は五色で綺麗なものである。早苗はその飾りつけに少し見惚れてからカクテルを口に入れた。
「あれ? お酒の味がしない……」
「はい、 ノンアルコールのカクテルです。 材料はレモンジュース、パイナップルジュース、オレンジジュースの三種類。 これらを完全に混ざるようにシェイクするとシンデレラになる」
「カクテルってお酒だけじゃないの?」
「もちろん。 お酒の飲める人しかバーを楽しめないのなら、それ以外の者がドレスがないためにお城のパーティに行けない灰かぶり姫になってしまう。 それでは悲しすぎる……バーはなにも酒を飲むだけが楽しさというわけではないからね」
「うん、 飾りも綺麗だし、 味もおいしい!
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