暁 〜小説投稿サイト〜
形而下の神々
過去と異世界
地下室deトリップ
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
う〜ん……難しいなぁ」
「タイチさんはどう思う?」

 悩んで押し黙るグランシェから、今度は俺に視線を移して聞いてきた。
 グランシェが答えるなら俺もちゃんと答えた方が良いだろうな。

「無限に有るだろう。太古の昔から決まった事もあれば、現代になって変わった事もある」

 未来でも真理と呼ばれる物は変わって行くだろうしな。

「ぶっぶー。ハズレ〜」

 突然、向こう側の壁へと歩き出しながら彼女は言った。

「答えは……いつの世も一つ」

 なんだよ、何処の少年名探偵だよ。


「『全ての物質は安定を求める』これが唯一の真理、答えよ」

 再び振り返ってこちらを向いた彼女の手には見事な日本刀。

 ……ハズしたら死ぬってオチ?


 ナツキはスッと手際良く鞘から白刃を抜いた。美しい輝きが露わになり、ついうっかろ一瞬だが見とれてしまった。

「全ての物質は安定を求めて動いている。だから化学反応が起きるのよ」

 まぁ、確かにそうだな。

「化学反応が起きるから、人間が生まれ、生命が誕生した」

 ドコの教師だよ。

「その真理は自然現象にも例外なく、それは人々に神を連想させた」

 ドコの教祖だよ。

「人間の作ったルールも、それに基づいているわ。要するに、全てのルールも自然現象も『全ての物質は安定を求める』という真理の延長でしかないの」

 これまたブッ飛んだ意見だな……確かにそうではあるが。

「極端な話だな」

正直な感想だ。

「そうかもね……まぁ、ここからが本題よ。私には8つの力が宿り、1つの呪いがかかっているわ」

 ……これまたファンタスティックな話だな。

「一つは呪い。『時間から弾かれる公式』これのせいで私は不老となった」

 ……公式?

「次は『時間を超える公式』これは私の力。そのままの力よ。3つ目は『時間を超えさせる公式』これ以上は教えない」

 そう言って、彼女は日本刀をこちらに向ける。

「世界の真理はいつできたと思う?」
「………え?」

 そして彼女は、ナツキはにっこりと微笑んで言った。

「答えは『つい最近』よ」

 ズチュッ……。

 のめり込む刃、刺すような痛み。というか刺された痛み。

「真理が通用しない世界で、貴方達には役目がある」

 心臓を貫く刃と優しい声を感じる。そうして意識が消し飛ぶ瞬間、俺は最後の声を聴いた。

「私を……救って?」
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ