過去と異世界
地下室deトリップ
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う〜ん……難しいなぁ」
「タイチさんはどう思う?」
悩んで押し黙るグランシェから、今度は俺に視線を移して聞いてきた。
グランシェが答えるなら俺もちゃんと答えた方が良いだろうな。
「無限に有るだろう。太古の昔から決まった事もあれば、現代になって変わった事もある」
未来でも真理と呼ばれる物は変わって行くだろうしな。
「ぶっぶー。ハズレ〜」
突然、向こう側の壁へと歩き出しながら彼女は言った。
「答えは……いつの世も一つ」
なんだよ、何処の少年名探偵だよ。
「『全ての物質は安定を求める』これが唯一の真理、答えよ」
再び振り返ってこちらを向いた彼女の手には見事な日本刀。
……ハズしたら死ぬってオチ?
ナツキはスッと手際良く鞘から白刃を抜いた。美しい輝きが露わになり、ついうっかろ一瞬だが見とれてしまった。
「全ての物質は安定を求めて動いている。だから化学反応が起きるのよ」
まぁ、確かにそうだな。
「化学反応が起きるから、人間が生まれ、生命が誕生した」
ドコの教師だよ。
「その真理は自然現象にも例外なく、それは人々に神を連想させた」
ドコの教祖だよ。
「人間の作ったルールも、それに基づいているわ。要するに、全てのルールも自然現象も『全ての物質は安定を求める』という真理の延長でしかないの」
これまたブッ飛んだ意見だな……確かにそうではあるが。
「極端な話だな」
正直な感想だ。
「そうかもね……まぁ、ここからが本題よ。私には8つの力が宿り、1つの呪いがかかっているわ」
……これまたファンタスティックな話だな。
「一つは呪い。『時間から弾かれる公式』これのせいで私は不老となった」
……公式?
「次は『時間を超える公式』これは私の力。そのままの力よ。3つ目は『時間を超えさせる公式』これ以上は教えない」
そう言って、彼女は日本刀をこちらに向ける。
「世界の真理はいつできたと思う?」
「………え?」
そして彼女は、ナツキはにっこりと微笑んで言った。
「答えは『つい最近』よ」
ズチュッ……。
のめり込む刃、刺すような痛み。というか刺された痛み。
「真理が通用しない世界で、貴方達には役目がある」
心臓を貫く刃と優しい声を感じる。そうして意識が消し飛ぶ瞬間、俺は最後の声を聴いた。
「私を……救って?」
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