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異世界からチートな常識人が来るそうですよ(タイトル詐欺)
第十四話 最近主人公が破壊魔に成り果てている気がする……
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持つ槍は過たず彼女を貫く。少女は血に濡れた胸を見下ろして呆然とする。その隙を逃さず槍を抜いて蹴飛ばし、更に矢を番えて放つ。
「"カラドボルグ”!」
その矢は使ったはずではないのか。少女は不思議に思いながら直撃を受け、その身を闘技場の観客席に叩き付けた。
証はレティシアを抱えて観客席の中腹に降り立つ。レティシアは驚きながらも証に尋ねる。
「………やった……のか?」
「いや、中々に頑丈なのかな?」
そう言ってレティシアを降ろし、構えなおす。砂煙の上がる場所に平然と立ち上がる黒斑の少女は口元に笑みを浮かべて話しかける。
「驚いたわ、まさか人間に叩き落されるなんて、貴方の名前は?」
「風舞証だ。別に覚えなくても」
「そ、覚えておくわ」
「覚えておかなくても………」
「覚えておくわ」
「………(−_−;)」
不毛な会話を続けていると気を取り直したように少女が華のような笑顔で笑いかけてくる。
「ねえ、貴方。私のコミュニティに入らないかしら? 好待遇で受け入れるわよ?」
笑いながら証は断る。
「悪いな。俺はこう見えても治療術師なんだ。ユーレイの傘下にはなるつもりはないよ」
あら、と意外そうな声をだす少女。
「私の正体が分かっているのかしら?」
「勿論。敗血症に近い何かだろ。お?」
少女に側面から熱線が襲い掛かる。当然のように防いだ黒斑の少女は襲い掛かってきた赤い少女に向かいなおる。
「そう、逃げられたと思ったわ"階層支配者"」
「目的は何ですか? ハーメルンの魔王」
「あっそれ間違い。正式名称は"黒死斑の魔王"よ」
「……。二十四代目"火龍"サンドラ」
「目的は言わずとも分かるでしょう? 白夜叉の身柄と、星海龍王の遺骨が欲しいの」
だから頂戴? とでも言いたげな軽い口調でサンドラの龍角を指す。
「魔王と言うだけあって流石にふてぶてしい。だけどこのような無体、秩序の守護者は決して認めない。我らの御旗のもと、必ず誅して見せる」
「そう。素敵ねフロアマスター」
轟と灼熱の火炎と不気味な黒風がせめぎ合うなかで、そこに氷の矢を放って乱入する証。
その一撃でペンダントランプが砕け散った。
「俺も混ぜろよヽ(´o`;」
「ちょ」
「え」
サンドラと少女は唖然とするが、構わず少女に撃ち続ける。
「……っ、協力感謝します!」
サンドラは味方であると解り、戦いを始める。
砕けたペンダントランプのガラスと砕けた氷が炎によって煌めく様にして三人の戦いを彩った。
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