暁 〜小説投稿サイト〜
異世界からチートな常識人が来るそうですよ(タイトル詐欺)
第十四話 最近主人公が破壊魔に成り果てている気がする……
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「魔王が……魔王が現れたぞォォォォォォォ」




―――――舞台会場。

「魔王が現れたってことでいいんだな?」

「はい」

黒ウサギが真剣な表情で頷く。軽薄な笑みを浮べている十六夜もその瞳にはいつもの余裕は見られない。

「白夜叉の"主催者権限"が破られた様子はないんだな?」

「はい、黒ウサギがジャッジマスターを務めている以上、誤魔化しは効きません」

「どうするの? ここで迎え撃つ?」

「ああ、けど全員で迎え撃つのは具合が悪い。それに"契約書類"がゲームにどんな影響を及ぼすのか確かめねえと―――」

「お待ちください」

一同が声の方向に振り向く、同じく舞台会場に上がっていたジャックとアーシャだ。

「おおよその話は分かりました。魔王を迎え撃つというなら我々"ウィル・オ・ウィスプ"も協力しましょう。いいですね? アーシャ」

「う、うん、頑張る」

逃げ惑う観客が悲鳴を上げたのはその直後だった。

「見ろ! 魔王が降りてくるぞ!」

上空に見える人影が落下してくる。

十六夜は両拳を強く叩き、証とレティシアに向かって叫ぶ。

「んじゃ行くか! 黒い奴と白い奴は俺が、でかいのと小さいのは任せた!」

「はいよ、任せろ」

「了解した主殿」

十六夜は嬉々として体を伏せ、舞台会場を砕く勢いで境界壁へ向かい、証は氷の弓を作り出し、"矢"を番えた。






真下からの襲撃だった。

「"カラドボルク"」

「え?」

黒斑の少女はいきなり聞こえてきた声に動きを止めた瞬間、シュトロムが粉砕される。

「BRUUUUUM!!」

何かが通り抜けていったのは分かったがそれだけだ。しかしそれに気を取られたのが運の尽きだった。

「もらった!」

「あれっ?」

レティシアは急加速して黒斑の少女の懐に飛び込み、ギフトカードから長柄の槍を取り出し、心臓に突き出す。

「やったか――――!?」

「やってないわ」

驚いたことに槍は少女の胸にあたって拉げていた。黒斑の少女はレティシアを引き寄せ黒い風で拘束する。

「レティシア! くそ」

証は舌打ちして舞台会場のレンガ造りの壁を破壊する。そして両手に持った一刀一剣で少女めがけて散弾のようにかち上げる。

しかし彼女は黒い風を前に展開するだけで防ぐ。証も目的はぶつけることではない。足場の代理にするためにかち上げた。

証は瓦礫を足場にして跳び上がりながらククリを投げつける。弧を描くようにして飛んだそれを当然のように弾くが、既に後ろへと回りこみ、さらに取り出した真紅の槍で今度こそ貫く。

「……"ゲイボルク"」

「え?」

必ず心臓を貫く呪いを
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