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形而下の神々
過去と異世界
ホレズ修道院
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美味いもんが食いてー」
「あぁ、俺もだ」


 しかし困ったことに安定のマクドナルドはこんな山奥には存在しない。

 仕方がないので無駄に観光地値段で美味くない昼食を取り、寒さに凍えながらホレズ修道院に入った。


 荘厳な空気を纏う室内は、暖炉の火から伝わる温もりをもって俺達の身体を解凍してくれた。祈りを捧げる者、何やら読書に勤しむ者、何もせずボーッとしている者。色々な人が居たが、俺達はとりあえず何もせずボーッとしている者達の仲間入りだ。

 時刻は正午を回ったばかり。
 白井菜月にはあとどのくらいで会えるだろうか。

 と、その時後から声がかかった。

「タイチさん初めまして、グランシェさんお久しぶり」

 二人仲良く、バッと勢い良く振り返る。

「お久しぶりです!!」

 グランシェが元気良く言った。

「しっ、修道院の中ではお静かに」

「あっ、すみません」


 優しくグランシェをたしなめた女性は、短い黒髪を綺麗に切り揃えたなんとも可愛らしい人だった。確かに見た目は二十歳かそこらだろう。

 スッと伸びた足に、優しい微笑み。腕は後ろに組んでいるから分からないが、恐らく長く美しいのだろう。
 どこかで見たような女神のピアスをしていて、ネックレスも同じものが綺麗な首からかかっていて、洋服との絶妙な統一感が彼女のセンスの良さを思わせた。
 別段似ている訳ではないがそれは俺にあの白い女神像を思い出させ、俺はカバンからあの女神像を出したくなったが、そこはグッと我慢した。
 これは最後のお楽しみだ。

「あの……」
「まぁ、つのる話も有るでしょうから、あちらの扉の向こうで話しましょう」

 俺が声を出そうとすると、彼女はそれを遮って左手で修道院の奥にあった重厚感漂う扉をさし、スッと俺達の前に立つとその扉まで歩いて行く。

 ギギッと音を立てて開くその扉の奥は地下へと繋がっていた。

「この下に沢山の資料が有ります。火を炊いていますので、そこでお話しましょう」

 彼女について階段を下ると、そこにはまた、重厚感溢るる重い扉。

 ギギッと音を立ててその扉も開いた。

 奥には絨毯と暖炉。かなり奥に有る。
 細部までは暗くて見えないが、相当広いな。

「さ、どうぞ」

 彼女に誘われるまま、俺達は地下室へと足を踏み入れた。

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