ナツキ・エンドーと白い女神
ホワイトゴッデス〜白い女神〜
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嘘だって見抜いちゃう。もしかして、警察官にでもなったのかしらね」
そう言ってホワイトゴッデスをこちらに差し出す。
「貴方が捜しているナツキ・エンドーは知らないわ。ただ、ナツキ・シライはこれを貴方達に残した。当時、まだ産まれてもいなかった貴方達に向けてね」
彼女の眼には闘志にも似た何かが芽生えているようだった。いや、もしかすれば俺たちが今まで気付かなかっただけなのかも知れないが。
「……有り難く頂戴致します」
「さ、貴方たちにはまだやる事があるんでしょう?」
ポン、と背中を叩かれ、俺たちは急かされる様に部屋を出る。
そして、俺とグランシェが部屋を後にするかしないかの時、老婆はボソリと呟いた。
「もしかしたら本当に、ナツキは魔女だったのかもしれないわね……」
その一言が気にはなったが、俺は部屋を後にした。
部屋に帰ってから、老婆に貰った謎のホワイトゴッデスを眺めてみると不思議な点が幾つかあった。
白い女神像とは言うが、ホワイトゴッデスは他の女神像とは違い手乗りサイズの小さい物が主流だ。そのため体は二等身であり、精巧なつくりではない。
ちょうど日本で言う千羽鶴の様に、願掛け的な贈り物として用いられたのではないかと俺は推測している。
女性の特徴として、乳房は男性と区別出来る程度には作られているが、ダルマにも似たその作りでは大した物でもない。見る人が見れば素晴らしい代物だが、何も知らない者からすればただの白い石ころ同然なのだ。
ただ今回手渡されたホワイトゴッデスは、一瞬本当にホワイトゴッデスなのかと疑う程の精巧な作りになっていた。
その身体に纏う薄いベールのシワは布の質感を見事に再現していて、キトンか何かで出来ているように思える。更には細く作られた長い髪の流れはとても自然で、葉っぱの形をした髪飾りがしてあった。
凛々しく母性的な表情を浮かべた顔にはうっすらとした微笑みすら見て取れ、まさしく女神といった感じが漂いとても美しい。
そして何より驚きなのはそれがニ等身でないことだ。
スッと美しく伸びたその素足は息を呑むほど精巧に作られていて、しかも当時の人間とは思えないほどにスタイルは抜群だった。
当時の造型技術ではたしてこれ程の物が作れたのだろうか。
「まるでモデルさんみたいだな」
グランシェが呟いた。
「モデルかぁ……」
俺は少しその言葉が脳裏に残る。何か見落としている。そんな気がするんだ。するとよほど暇なのか、またしつこくグランシェが言った。
「凄い綺麗だな、これをモデルに別な作品が作れそうなくらいだ」
「それだぁっ!!」
「うぇっ!? 何がだ!?」
モデル。
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