暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
二章 やんちゃ王子の観光
2-10町の宝
[8]
前話
[2]
次話
偽王子の首筋に、刃物が押し付けられる。
この距離では、取り押さえられない。
暴漢たちは偽王子を引きずり、裏口から脱出する。
追いかけ、外へと出る。
暴漢たちは、馬上で待ち受けていた仲間に偽王子を渡し、別の馬に飛び乗って、瞬く間に駆け去った。
「あのような、なよなよとした者が。アリーナ様の名を
騙
(
かた
)
ったりするから、天罰が下ったのです。自業自得です」
クリフトは完全に人が変わっている。なよなよというか、あれは。
「
攫
(
さら
)
われたのが本物の王子で無くて幸いでしたな。我らが助けねばならぬ道理は、ありませぬが。どうされますかな」
「それは助けるが。目的がわからないことにはな」
神官風の男が言う。
「お前たち。どうか王子を助け出してほしい。さすれば、
褒美
(
ほうび
)
は思いのままだ。」
老人が言う。
「なんとしたことじゃ。メイ……王子が攫われてしまった。」
「無い袖を振ってまで、褒美で釣ろうなどとは。私たちをなんだと思っているのでしょう」
クリフトは呆れが
勝
(
まさ
)
って落ち着いたようだ。
本当に良かった。
「何も知りませんでしたな。全く、役に立たぬ」
ブライは、いつも通りだ。
町の子供が言う。
「ねえ、さっき犬のコロがこんな手紙をくわえてきたんだ。よんでみるね。『王子を返してほしくば、明日の夜、この町の宝、
黄金
(
おうごん
)
の
腕環
(
うでわ
)
を、町の墓場までもってこい。』なんだろ、これ?」
墓守
(
はかもり
)
の男が言う。
「黄金の腕環は、この町の宝だった。しかし、その宝があるばっかりに、争いが絶えず。遂に、南の洞窟に封じたそうだ。」
「いちいち、することが回りくどいな。犬に手紙を持たせるわ、宝を他人に取りに行かせるわ。」
「フレノール南の洞窟は、遺跡として価値の高いものですが、魔物の
巣窟
(
そうくつ
)
でもありますからの。手っ取り早く悪事を働いてことを為そうとする愚か者どもには、荷が重いでしょうな。大方、適当な人質を物色しておったところに、偽王子めが現れて、狙いを付けたのでしょう。到着後、間も無くの犯行であったようですからな」
「俺なら、返り討ちにできたのにな。それに王子の護衛だって、普通はもっと強いだろ」
「油断大敵ですぞ。まあ、愚か者の考えることですからな。偽物を狙ったがために、かえって
彼奴
(
きゃ
)
らの思う通りになりそうだとは。全く忌々しい」
「しかし、そのような者たちに、黄金の腕環など渡してしまって良いものでしょうか。腕環を巡る争いは、腕環の持つ邪悪な力のためと聞いたことがあります」
「取ろうと思えば取れるなら、今回だけ見捨てても同じだろう。助けるぞ」
[8]
前話
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ