3部分:第一幕その三
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
の人かしら」
「多分」
アデーレがそれに答える。
「そうだと思います」
「何か騒いでいない?」
「そうですね」
耳を澄ませば何か男二人が怒鳴りあっているのが聞こえる。二人はそれを聞いて首を傾げた。
「あの人と」
「ブリントさんですね」
アデーレは声を聞きながら言う。
「間違いなく」
「何を話しているのかしら」
「さあ」
そこまでは聞き取れない。だがあまりいい話をしていないのは語調でわかる。
「こちらに来ますし。待ちますか」
「そうね」
奥方はそれに頷いて夫であるアイゼンシュタイン伯爵を待った。やがて黒い背広を身に纏ったアイゼンシュタイン伯爵がやって来た。案の定カリカリしていた。
癖のある黒髪を後ろに少し撫でつけ律儀に切り揃えた口髭を持っている。目はブラックだ。かなりの長身で端整な面持ちである。ある銀行の頭取でその財産も地位もかなりのものだ。だが酒癖が悪く今回の事態となっている。そうした困った一面もある御仁なのである。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ