暁 〜小説投稿サイト〜
外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
エジンベア編
[1/5]

[8]前話 [1] 最後
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「みんな黙り込んで、どうした?」
俺は、勇者、セレン、テルルの3人に話しかける。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
返事がない。機嫌が悪いようだ。

ここは、エジンベアの城の1階にある個室だ。
テーブルについている椅子にそれぞれが腰掛けている。
そして、ここに来るときの経過を思い浮かべていた。



「ここは、どこなの?」
テルルは、世界地図の右上を指し示す。
「確か、エジンベアだな」
俺は、少し考えてから答える。
俺たちはポルトガ城下町の入り口にある公園で、テーブルに腰掛け地図を広げながらこれからのことを話していた。
勇者は公園にいたカップルから、「ゆうわくの剣」をもらって、しげしげと眺めていた。

「どんなところなの?」
「詳しくは知らない」
俺は、エジンベアに行ったことはない。
前世の知識を思い出したが、その内容が事実だとは限らない。
そう思い、話すことをやめたが、別のことを思い出した。
俺は勇者に、行ったことがあるかと質問する。

「わかりません。
地図を見ながら、冒険したことがありませんから」
勇者は、「ゆうわくの剣」を袋にしまいながら、質問に答える。
自分が装備できないことを知って、残念そうな表情をしていた。
「これが装備できれば、いつでも誘惑することができるのに・・・」と、つぶやいていた気がするが、気のせいだろう。
勇者が誘惑する相手を思い浮かべることができない。

「そうか・・・」
俺は、ため息をついた。
「ごめんなさい」
「いや、あやまる必要はない」
俺は、勇者をなぐさめる。
「ありがとうございます、アーベルさん。
ただ、魔王を倒すまでに立ち寄った城で、まだ訪れていないところがあります」
「バラモス城以外でか?」
「そうです」
勇者はうなずく。

となれば、勇者が行った場所はエジンベア城だろう。
ほかの場所はほとんど訪れている。
「どんなところか?」と、再び質問しようとしてやめた。
最初に質問したときには気づかなかったが、三姉妹との旅を思い出させるのはよくないだろう。

「じゃあ、行きましょう!」
テルルはうれしそうに全員に話しかける。
テルルが知らないということは、キセノン商会はこの地に支店をまだ展開していないということだ。
新規販路の開拓という、商人の血が騒いでいるのかも知れない。
「そうですね」
セレンが少し心配そうな表情でうなずく。
「どうした、セレン?」
「アーベルが、あまり乗り気ではなさそうなので・・・」
「そんなことはない」
「あやしいなあ・・・」
テルルは、俺の顔を覗き込みながら質問する。
「この城でも、女の子を引っ掛けていないかしら」
「行ったことのない城で
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ