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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
ムッツリさんの最後の戦い 帰還編
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ない。
俺は待っている。待っているぞ」
ムッツリさんは、私の頭をなでながらしっかりした声で私に応えてくれました。
「はい」
私は光に包まれながら、意識を失いました。



私たちが意識を取り戻すと、部屋の様子が大きく変わったことに気づきます。
「アリスお姉ちゃん!」
「アリス!」
すぐそばに、サリナとエリナがいました。
そして、クリスお姉ちゃんも異世界に行く前の服装で私の近くにいました。
クリスお姉ちゃんはかなり苦しそうにしていましたが、私の心配そうな表情に気づくと、「二日目だから」と小さな声で教えてくれました。
そこまでは普通でしたが、周囲の壁に大きな穴が開いていたり、ヒビが入っていたりしています。

「いやあ、大変だったよ」
斑鳩さんが、私に近づきながら声をかけてきました。
「斑鳩さん」
「無事だったようだね。ええと・・・」
斑鳩さんの視線は宙に浮いていました。
「・・・。アリスです」
「そう、アリスちゃん。
まさか、研究所が襲撃を受けるとは思わなかったよ。
この研究所なら、警備も万全だと思っていたのに・・・」
「茂市、お前のせいだ!」
「いたっ!」
斑鳩さんは、背の高い迷彩服を身につけた女性に頭を叩かれました。

「痛いじゃないですか、・・・。
って、深垣(ふかがき)先輩じゃないですか!」
「「じゃないですか!」じゃねえ!」
深垣さんと呼ばれた目の前の女性は再び、斑鳩さんの頭を叩きます。
「お前が、このガキを連れてきたせいで、こうなっただろうが!」
深垣さんは、私たちから少し離れたところでうずくまっている少女に向かって、指さします。
「!」
綾池さんでした。

「このガキは、スパイだったのだよ!」
「そんな!」
斑鳩さんは驚愕の表情をしています。
「そんなも、こんなも、無い!」
深垣さんは、簡単に経過を話しました。

今回、第7研究所が開発したシステムの前身は、佐伯グループと呼ばれる世界規模の複合企業(コングロマリット)の子会社が独断で開発しました。
その後、子会社が問題を起こしたことで、システムは第7研究所が引き取り、佐伯グループ内では闇に葬られました。

しかしながら、システム開発に関わった研究者の1人が、システムのコピーを外国に売り払ったそうです。
システムを買い取った国は、再現化を行おうとして失敗し、対応策を練っていました。
その中で、第7研究所が別のアプローチから研究を進めているという情報を入手し、第7研究所へスパイを潜り込ませ、別の場所からシステムに介入したり、場合によっては装置を奪い取ることも計画したそうです。
そのスパイが、目の前でロープに縛られている綾池さんだということです。

「まあ、私が派遣されたからには、相手の計画は失敗しかな
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