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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
ムッツリさんの最後の戦い 旅立ち編
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 1 私たちには、秘密があります。



「ムッツリさん。
おはようございます」
「おはようございます、アリスさん。
ええと、私の名前はムッツリさんではありません。
たぶん・・・」
目の前のおじさんは、頭をかきながら私に挨拶します。

私はアリス。
双子のお姉ちゃんのクリスと一緒に、ランシールの町で働いています。

実は私たちには、秘密があります。



私たちは、別の世界から来ました。



私たちは、女だけの7人姉妹です。
両親が早くから先立ち、物心ついたときから、年の離れた3人のお姉ちゃんが、私たちの両親の代わりとなってくれました。

私たちは、両親が遺してくれた、小さな家と、いくらかの蓄えにより、質素ながらも楽しく暮らしていました。

私たちより年の離れた3人のお姉ちゃんは、高校を卒業後、私たち4人の妹を養うため働き始めました。

お姉ちゃん達は、普段は優しいですが、怒ると怖いです。
先日、中学生の妹サリナが、両親がいないことを理由にいじめられました。
そのことをお姉ちゃん達が知った翌日、サリナをいじめていた同級生が急に転校することになりました。
小学生のエリナが、所属するLグロリアスボール部の顧問から、厳しい指導をして泣かされたと、お姉ちゃんが聞いた翌週には、顧問の先生が退職し、新しい顧問が就任しました。


「私もすぐ働くよ」
「私も」
現在高校2年である私とクリスお姉ちゃんが、テーブルの反対側に座る3人のお姉ちゃんに対して、進路について返事をします。

「だめよ、きちんと大学に進学しなきゃ」
長女のカナお姉ちゃんが冷静な口調で言います。
カナお姉ちゃんは、陸上部で短距離走の主力選手としてインターハイで上位入賞し、「電光石火のカナちゃん」と呼ばれました。
複数の企業から、実業団として誘われましたが、家から遠くなることから、近所の機械部品会社の営業として働くことになりました。


「ちゃんと、学力もあるのに進学しないなんてもったいない」
二番目のナミお姉ちゃんは、少し怒った声で答えます。
ナミお姉ちゃんは、頭脳明晰で数学と物理のオリンピック代表候補にも選ばれました。
大学の推薦入試の話もありましたが、それを辞退し、市役所に正規職員として採用されました。
今は、家の家事と家計の中心を担っています。
最近職場の先輩と付き合っているようです。
私たち姉妹のなかで、最初に結婚するかもしれません。


「そうよ、4人分の学費くらいなら、私達3人でなんとかするから」
三番目のミカお姉ちゃんは右腕を前につきだし、腕を曲げながら拳を強く握ります。

ミカお姉ちゃんは、力が強い事を買われて、高校の女子アメリカンフットボールチームのタイトエンドとして活躍し
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