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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
着ぐるみにまつわる思い出
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に参加している。
実家を離れ、アパートに住んでいるが、町内会への参加は、運動会とゴミ出し程度しか参加していない。町村役場の職員なら、たぶん許されないだろう。
実家であれば、いい働き手としてこき使われたかもしれない。
実家は同じく市内にあるが、県職員である兄夫婦が後をついでおり、実家の手伝いもとりあえず不要だ。
「彼女と遊びに行かないの?」
「いない相手と、どうやって遊べと?」
「いなければ、作ればいいじゃない。
職場には若い子も多いようだし」
ここ数年、正規職員の採用数が激減しているが、不景気による失業者対策と、財政難による採用者不補充対策で、市役所も非正規職員の採用が増えている。
その中には彼女の言うとおり、若い女性もいる。
「俺なんか、相手しないだろう」
事実、彼女たちはあまり俺を相手にしていない。
最初のころは、日常会話をかわすこともあるが、数日すると、なぜか、必要最低限の会話しかしてこなくなる。
うちの部には通称「お見合いおばさん」と呼ばれる女性職員がいて、あちこちから見合い話を持っていくが、俺に声をかけたことがない。
「そ、そうかしら」
「よけいなお世話かもしれないが、君のほうこそどうなのだ」
「よけいなお世話です」
「・・・」
「・・・」
次のイベントまで、二人の間に沈黙が流れた。
1時間後、俺は再びステージにたった。
ステージといっても、30cm程度の高さでしか無く、着ぐるみを着た状況でも、問題はない。
「ありがとうございました〜」
司会役の女性が、手を振ってイベントの終了を知らせる。
「引き続き、記念写真の時間を用意しております。
よい子のみんな、きちんと順番を守って並んでね〜」
俺は、親子と一緒に写真を撮りながら、着ぐるみを着ていなければこんなことはないだろうなと、現実的なことをかんがえていた。
着ぐるみ効果、恐るべし。
隣に目を向けると、黒い着ぐるみがぽつんとたたずんでいる。
「みなさん、ニイウッシーは並ばなくても写真撮影できますよ〜」
ニイウッシーとは、県と市と新岡市農協が中心となってブランド化した和牛「新岡黒毛和牛」のイメージキャラクターである。
角も含めると2m近い巨体は、黒毛和牛をイメージした黒と併せて、見るものに威圧感を与える。
俺個人の感想からすれば、愛嬌のある表情は評価すべきところなのだが。
司会者のかけ声もむなしく、黒い牛の着ぐるみの前には誰も並ぶものはいなかった。
午前中のイベントでも誰も並んでいなかった。
子どもにとって、黒い大きな物体は恐怖をよぶものらしい。
今日はこれまで、3人の子どもが泣いていた。
まったくもって、着ぐるみ効果、恐るべし。
写真撮影も終わる頃、事件が起こった。
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