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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
連れ込まれた部屋の中で編
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1 喜んで話を聞かざるを得ない状況に追い込まれた。
部屋の中にいたジンクが、アーベルに話しかけた。
「やあ、王様」
「ああ、ジンク。助かった」
アーベルは安堵の表情で答えた。
「俺もいるぞ」
「ああ、王子様」
「元だよ、俺は」
部屋の中にいたもう1人の男は、訂正する。
「俺が退位したら、王子様だろ。なんなら、王様でも構わないぞ」
「部屋から追い出してもいいのだよ」
目の前の男は残念そうな顔で声をだす。
「頼むから勘弁してくれ」
アーベルは心の底からお願いした。
アーベルは、ようやく、身の危険から逃れたばかりだ。
また、あそこに戻るわけにはいかない。
「前から、疑問に思ったのだが」
アーベルは、2人に尋ねる。
「おまえたち本当に仲が良いな」
「愛し合っています」
「将来を誓ったからな」
即答だった。
「・・・。そうですか」
「聞きたい?ねえ、聞きたい?」
ジンクが、アーベルの視線を遮るように左右に動く。
正直うざったい。
アーベルは、どうでもよかったが、ここで断れば部屋から追い出されることを確信した。
アーベルは、今しばらくは、ここにいる必要があるので、2人に嫌々頼み込んだ。
「よかったら、聞かせてくれ」
「その程度じゃダメです」
「本当に腹の心から知りたいと思わなければ、答えるわけにはいかないな」
2人にダメ出しされた。
アーベルは、屈辱に身を震わせたが、怒りを静めると努めて冷静に、いや、強い情熱を込めて話を始めた。
「本心を悟られるのがつらくて、表面上はごまかしていた。
本当に知りたいと思っている。
頼む、絶対に今日この機会を逃したくないのだ!」
今日この機会を逃したら、ここを追い出される。
きっと出口で彼女たちが身構えているはずだ。
アーベルには、一応最終手段として、ルーラでの脱出も残されているが、ロマリア国外に脱出するわけにも行かない。
アーベルが逃げ出したら、ロマリアが何をするかわからない。
アーベルが考える最悪の想定は、ウエイイ開放作戦で使用した魔法の玉のことを、ロマリアで公表されかねない。
魔法の玉が安易に世界に広まれば、その破壊力によって、世界は荒廃してしまう。
かといって、ロマリアに逃げ込んでも、祝賀会に参加できず、いらいらがたまった近衛兵に槍玉に挙げられてしまう。
アーベルは強い忍耐力を持ちながら、2人の答えを待っていた。
「仕方ないわね」
「しょうがない。話してやるか」
「ありがとう」
アーベルは2人に礼をいうと、うれしそうに話を聞き始めた。
夜はさらに深まってゆく。
アーベルは話を聞きながら、この部屋に来るまでの事を思い出していた。
アーベルは、命の危険を感じていた。
本来、凱旋式終了後
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