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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
連れ込まれた部屋の中で編
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ていた。
「・・・」
「・・・」
2人とも、アーベルが何故笑っているのか理解できなかった。
「さて、話は終わりだ」
「なかなか、いい時間つぶしになった」
アーベルは思わず、本音を言った。
「こころの底から聞きたかったのでは」
男は指摘し、
「お帰りはこちらです」
ジンクは冷たい瞳で扉を指し示す。
「待ってくれ」
アーベルはまだ、外には出たくないようだった。
「ご安心ください。
みなさんはすでにお帰りですよ」
「なんだと」
アーベルは驚いていた。
部屋に入ってから、それほど時間はたっていない。
彼女たちが、自家の安泰を考えるならば、一晩でも待ちかねない。
ジンクは、アーベルの驚きの表情を見ると、クスクス笑いながら解説する。
「人の恋路は邪魔しないといったではないですか」
「そうだな」
アーベルは頷く。
「ですから、彼女たちを慕っている貴族たちをこの部屋の前にお招きしたのです」
「なるほどな」
アーベルは大きく頷いた。
表情は、
「悪辣な奴だ」
と書いてある。
「まさか、自分が慕われると思っていましたか」
ジンクは残念そうな顔で質問する。
「とんでもない。
彼女たちは、自分ではなく、王位に慕っていたと思っていたのでね」
「そうですね」
「まあ、退位すれば問題ないし。
後は、まかせたぞ」
「そのときには、私たちが既成事実を作ればいいと」
ジンクは少し顔を赤くして答える。
王様や王子が、結婚する場合、素性を調べられるが、今の状況であればジンクと前王の息子との婚約話が出ても誰も文句を言わないだろう。
今なら、誰もアーベルがすぐに退位するとは考えていない。
「そうなると、俺は人の恋路を邪魔する失礼な男になるな。
馬に蹴られる前に失礼するよ」
アーベルは、二人にお礼を言うと部屋を出ていった。
ジンクの指摘どおり、周囲に人はいなかった。
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