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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
連れ込まれた部屋の中で編
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降、少年が当たった事は一度もありませんでした。
少年は、10Gずつしかかけていませんので、それほど懐は痛まなかったようです。
私たちが、最後の試合として選んだのは、
「今度は、さまようよろいBだな」
「まさか、1万ゴールドはしないわよね」
「父上に叱られてね。
もう10G以上賭けることができなくなった」
「よかった」
私は、さすがに前回のようなことはこりごりでした。
私たちは、10G支払うと、いつもの場所で観戦しました。
「危ない」
少年は、私の目の前をさえぎるようにして、私を押し倒しました。
「え」
私は、何が起こったのかわからず、地面に座り込んでしまいました。
そして、周囲を見回すと、何が起こったのかわかりました。
「どうして?」
闘技場で戦っていたモンスターが、こちらに向かって呪文攻撃をしたのです。
周囲は炎に包まれています。
「ベギラゴンか。・・・」
少年は、私の肩をつかみながら、答えました。
「大丈夫なの」
「お嬢さんを守れたのなら、大丈夫だ」
少年は、ふらふらになりながらも立ち上がりました。
「俺の命が欲しいのか。
ならば、かかってこい、相手になってやる」
少年は、戦士としての訓練をしたことがあるようですが、モンスターとの実戦経験はなく、戦えるはずがありません。
闘技場のモンスターが、こちらに向かって呪文を唱えようとしたとき、
「甘い!」
背後から、何者かがモンスターを一撃で斬りつけました。
「強いな。
ただのさまようよろいではないな」
少年はつぶやくと、ひざをついた。
「大丈夫ですか」
「なんとかな」
少年の顔は青ざめていました。
背中が、やけどをしているようですが、冒険者では無い私は、何もすることができませんでした。
「ジンクよ、聞いて欲しい」
「はい」
「僕は、ジンクを昔から知っていた。
パーティに参加していたのを見かけて、すぐに好きになった。
でも、家が火事で焼けたことを知り、孤児院で生活していると聞いて、助けにいこうとおもった。
でも、行方不明になったと聞いた。
数年後、君の顔とおなじ子どもが闘技場に現れると聞いて闘技場に入り浸るようになった。
ようやく君に会うことができた。
君には幸せになって欲しい。
僕は子どもで、まだ何も出来ないけど、ようやく助けることができた。
良かったら、覚えてほしい。
君の事を好きだった子どもがいたことを」
少年は、ゆっくりとしゃべっていました。
しゃべり終わると、少年は動かなくなりました。
「死なないで。
私は、私を救ってくれた、あなたのために生きるのだから!」
私は、少年を強く揺すってしまいました。
医学的には問題があるとおもいますが、私にはそんな知識もありませんでした
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