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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
ロマリア王立冒険者養成所卒業式での演説
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アーベルは、ロングスの演説が拍手を持って迎えられたあと、演台に登壇する。
アーベルは、多くの聴衆を前にして、口を開く。

「本日、諸君が世界最高水準の一つである冒険者養成所を卒業する場に参加できたことを光栄に思う。
私は昨年、アリアハンの冒険者養成所を卒業した。
昨年参加したときは、来年も参加することになるとは思わなかった」
俺はそこで言葉を句切ると、目の前の原稿を取り出して呪文を口にする。
「メラ」
大勢の卒業生が見守る前で、書類は一瞬にして灰になった。

会場内は一瞬静まり、すぐに騒然となった。
それでも、俺の行動を不審に思っても俺は王であった。
卒業生達はその事実を思い出し、やがて再び静寂に包まれた。

「幸運にも、先ほどロングス財政担当官が私の思っていたことを、話してくれた。
おかげで、あらかじめ用意していた原稿を用いる必要が無くなった」
聴衆の何人かは、アーベルの言葉の意味を理解したが、静寂は続いていた。



「ロマリア王として、冒険者諸君に期待することを話そうと思う。
一つだけだ。
諸君の心に深く刻まれる内容であれば幸いである。
モンスターについてである」

アーベルは1Gを取り出した。
「この物体は、モンスターを倒した後に出現するアイテムゴールドだ。
この物体は、モンスターを生成する場合の触媒と考えられており、魔王の邪悪な力でモンスターが生成されていることと、一度人の手に触れると、直接魔王が触れない限り、二度とモンスターには戻らないと考えられている。
ゴールドは、その性質による希少性と偽造できないことから通貨として世界中で通用している。

冒険者達のほとんどは、モンスターを倒しゴールドを得ることで装備を整えたり、生活の糧にしたりする。
そして、モンスターと戦うことが出来ないほとんどの国民は、冒険者や兵士の力で安全な暮らしを確保している。

その状況が、近い将来変わることになる。
勇者の存在だ。
アリアハン出身の勇者は、あと1年ほどで成人し、冒険を始めることになる。
勇者の目的は、前の勇者オルテガの意志を継いで、魔王バラモスを倒すことである。

魔王バラモスが倒されれば、どうなるか?
モンスターは消滅するかもしれない。
消滅はしないが、その時点で生息するモンスターを倒したら、もう出現しないかも知れない。
実際どうなるかは、魔王を倒すか、魔王に尋ねるしかわからない。
ゴールドの由来の話が正しいかどうかも、魔王に尋ねることでしかわからないはずだ。
誰かが、魔王に尋ねたのだろうか。
そうならば、質問した人物はある意味、勇者に間違いない」
周囲から笑い声が聞こえる。

「重要なことは、冒険者である諸君にとって、重要な変化が訪れることである。

これ
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