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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
ロマリア王立冒険者養成所卒業式での演説
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で刻まれた文字が失われ、やがて誰からも忘れられるように。
我々の時間は限られている。
だから、他人の甘言に従う必要はない。
他人の意見だからでなく、自分で考えて、その意見が本当に自分にとって大切かを考える必要がある。
そして、最も重要なことは自分の心と直感に従う勇気を持つことだ。
それは、もちろん自分勝手とは違う。
どんなに強力な戦士でも、パーティの連携が十分でなければ簡単に全滅する。
そして、一緒に戦う仲間が本当に大切な存在であれば、仲間と無事に冒険をすることは何よりも大切なことであることに変わりはない。
「モンスターを食す」という書物がある。
冒険者の必読書の一つだ。
アリアハン出身の元冒険者サルファが、世界中を旅して、そこで戦ったモンスターの肉を調理した内容を記載した本である。
この本が必読書である理由は、モンスターの調理法が記載されているだけでなく、モンスターの生息地や攻撃方法、上質な食材を確保するための加工方法も記載されている。
最初は1人で作成されたものだが、この本の重要性を理解した冒険者ギルドは、多くの冒険者を派遣して山や海や洞窟を探索して、新しい情報に更新している。
最新版の裏表紙には、降りしきる雪の中にある小さなほこらが描かれている。
海を背景にし、手前には綺麗な銀世界がひろがっているその風景は、冒険者であれば一度は行ってみたい場所だ。
私はここがどこであるか知っているが、この本にはその場所は明記されていないし、私もここで説明するつもりはない。
君たちが冒険者であるならば、自分たちで見つけて欲しい。
風景画の下にはこんな言葉が記されている。
「探し続けろ。考え続けろ」
これは、最初の作成者が読者の全てに伝えたい言葉だ。
探し続けろ。考え続けろ。
そして、私は常にそうありたいと願ってきた。
そして今、諸君が卒業するにあたり、皆もそうであって欲しいと思う。
探し続けろ。考え続けろ。
ご静聴ありがとう」
アーベルの演説に答えたのは、たった1人の拍手だった。
「素晴らしい演説だ」
ジンクは、席から立ち上がると、惜しみない拍手を送る。
アーベルの演説を目の前で聴いていたのは、ジンクだけだった。
卒業式当日、ジンクは用事があったことから、前日に聞きたいと頼んできたのだ。
アーベルも大勢の前で話すのが久しぶりだったので、練習相手にちょうどいいと二つ返事で会場を借りることを条件に了解した。
「事前に練習しないと、大勢の人の前では、上手く話すことが出来ないからね」
アーベルはそう言って、事前に原稿を作成していた。
「他人の演説を拝借したのだけどね」
アーベルは、頭をかきながらネタをばらした。
「問題ありませんか」
ジンクはアーベルに指摘する。
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