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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
ロマリア王立冒険者養成所卒業式での演説
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少年は、演台の前に立っていた。
目の前には、用意された椅子が100脚近く、整然と並べていた。
少年は手元にある原稿を眺めながら、演説を開始した。
「本日、諸君が世界最高水準の一つである冒険者養成所を卒業する場に参加できたことを光栄に思う。
私は昨年、アリアハンの冒険者養成所を卒業した。
昨年参加したときは、来年も参加することになるとは、全く思わなかった。
来年も呼ばれるかどうかは、今日の演説内容に対する、諸君の反応によるだろう。
今日は私の短い冒険の旅の中から3つの話をしたい。
たいしたことではない。
3つだ。
私が開発した汎用型呪文、「おもいだす」を使用すれば、すぐに思い出せる内容だ。
最初の話は、点をつなぐことについてだ。
私は、王になる前は、魔法使いとして冒険を続けていた。
だが、養成所に入る直前まで、自分の職業をどうするか悩み続けていた。
悩んだ職業の一つは魔法使い、そしてもう一つは商人であった。
私には、幼なじみがいた。
幼なじみの父親は商人だった。
私と幼なじみは、店に入り浸って、いろいろと道具の効果や製法などを店員に尋ねていた。
無論、店の商売の邪魔にならないように。
幼なじみの父親が経営していた店は、それほど大きな店舗ではなかった。
当然、展示する商品の数も限られていることから、上手に商売をしようと思えば、展示に工夫をこらす必要がある。
その店は、私がこれまで旅したどの店よりも、個性的であり魅力的であり、さらには芸術的でもあった。
来客者には、次も利用してもらう気になるように、接客に気をつける必要がある。
大きな利益を得るような交渉にあたっては、誠実にしかもこちらの意見が反映されるように、洗練かつ実用的な交渉術を身につける必要がある。
もちろん、交渉術を身につける前に、真摯であることを身につける必要があった。
私は、この店に通わなければならない理由は、何一つなかった。
他の子どもと同じように外で遊ぶこともできた。
母親に甘えることもできた。
父親の仕事が休みの日に、どこかに連れてもらうこともできた。
だが、私はこの店がそれらと同様に魅力的だった。
私は毎日のように店に寄りながら、楽しくそれらの内容を教えてもらった。
それらの内容は魅力的で、将来の職業を目指すときになって、大いに悩むことにもなった。
私は結局、冒険者養成所に入所するにあたって、魔法使いを目指すことになった。
母親の仕事である魔法を研究することに興味があったこと、一緒に冒険すると言ってくれた幼なじみが商人を目指すことになったのが、決断の理由だった。
私は将来、小さな店で得られた貴重な経験を生かすつもりはなかった。
だが、アリアハン王からロマリアとポルトガとの交渉を任された
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