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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
アリアハンでの事件 後編
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住居の持ち主はキセノン商会の人々を向かい入れた。
「お届け物です」
巨大な布を引き出すと、そこには透明な巨大ケースが現れた。
「確かに、依頼した商品だ。
奥の部屋まで運んで欲しい」
主人は商品を確認すると、奥の部屋に招き入れた。
日が沈み、暗闇に覆われた部屋のなかに、1人の男が足を踏み入れる。
「待たせたね」
男は、1人の女性を担いでいた。
男に担がれていた女性は、大きな布に包まれていた。
布からはみ出した両足は、汚れのない白さを見せて、繊細な彫刻品のような美しさを纏っていた。
布の反対側からみせる頭部は、金髪に覆われて表情をうかがい知ることはできない。
男は、部屋の奥に鎮座したケースの目の前に立つと、女性を慎重に下ろした。
くるまれていた布がほどかれると、そこに女性が現れた。
女性は何も纏わない。
少女から女性に成長した身体は、幼さを僅かに残しながら、成熟した曲線を見せる。
つぼみから花が開いた瞬間を閉じこめたかのように見える全身は、白い輝きを放っているように錯覚してしまう。
長く繊細な金髪から覗かせる顔は、白い彫刻で作られた女神の顔に酷似している。
相違点と言えば、少し大きめの瞳と、口元の微笑から微かに見せる妖艶な笑み。
そして、女性は今にも動きそうな感じがするのは、透き通る白い素肌から浮き上がる血管によるものなのか、みずみずしい素肌によるものなのか。
男は、目の前の女性に興味を示すことなく、目の前のケースを開こうとする。
「なるほど、リニアの右手だったのね」
透明な箱が、中から開いた。
「誰だ?」
しかし、姿は見えない。
「わかると思ったのに、残念」
「テルルさんか」
「そういうこと。
商品が犯罪目的で使用されていないか、確認させて貰ったわ、ホープさん」
テルルは箱の隣で、横たわる女性の姿を確認しながら姿を現す。
「きえさり草か?」
「よくご存じで」
「名前だけは知っています」
ホープは苦笑していた。
「では、失礼します」
テルルはキメラの翼を取り出した。
「待て!」
「!」
ホープはテルルの腕をつかんだ。
「離して!」
「逃げなければ、離す」
ホープの握力に、テルルは動くことが出来ない。
「その言葉、嘘はないな」
部屋に新たな男が進入してきた。
「助けには、来てくれたのね」
テルルはギルドの幹部ライトに視線を移す。
「当然だ。
お嬢さんに何かあれば、キセノンに殺される。
俺はまだ、死にたくない」
ライトの回答に、憮然とした表情を見せたテルルを無視して、ライトはホープに問いかける。
「というわけだ、約束を守ってくれ」
「ええ。
私の最後を見届けて欲しいだけです」
ホープは、苦笑しながら頷いた。
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