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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
アリアハンでの事件 前編
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こちらが把握している状況では、彼はアリアハンから出たことは無いのだよ」
「なんですって」
テルルは驚愕の表情を示す。
「そして、ここ数年は完全に1人で活動しているのだよね。
その状況で、どうやったら彼が、メタルスライムを倒すことができるのか教えて欲しいものだ」
ライトは、資料を机の中にしまい込む。

「なぜ急に、彼はメタルスライムを倒そうと考えたのだろうね?
そして、大金を掛けてまで展示したいと考えている。
だが本当にゲールは、モンスターを展示したいのだろうか?」

「わからないわ」
テルルは降参の表情を示す。
「まあ、そうだね。
ひとつ、思いつくことがあるのだが。
協力してもらえるかな?」
「どのようなことですか?」
「心配はいらないよ、お嬢さんに危険なことはさせないから」
ライトは、にこやかに笑いながらテルルに説明を始めた。
ただ、ライトの目は、説明が終わるまで笑うことはなかった。


「さて、費用の件ですが、こちらの条件を了承してもらえれば、無料で制作させて頂きます」
「どのような、内容でしょうか?」
テルルとゲールは前回交渉してから5日後に、再び同じ場所で交渉をしていた。

「こちらがご用意しました箱に、メタルスライムを捕獲して欲しいのです」
「・・・」
ゲールは急に押し黙った。
「ゲール様の目的と同じですから、こちらも一匹確保したいと思いまして。
ちなみに、捕獲したメタルスライムについては、すばやさの種の秘密を解析したいと王宮の方から要請がありました。
実験に成功すれば、報償も得られると思いますよ」
「今回は遠慮する」
「その必要は、ありませんよ」
ゲールは、急に否定したが、テルルは話を続ける。

「こちらから、歴戦の冒険者を派遣させて頂きますから、たとえ、ゲール様がアリアハン国外に出るのは初めてでも、問題有りません」
「・・・」
ゲールは、テルルの説明に対して沈黙する。

「それとも、冒険できない事情でもありますか?
たとえば、棺桶が使用できない状況にあるとか?」
ゲールは顔を青ざめ、右手を隠そうとする。
テルルは、隠そうとするゲールの右手をつかんでいた。

「ゲール様、キメラの翼での脱出はおやめになったほうがよろしいかと思います。
既に、アリアハンとレーベには、兵士を派遣しておりますから」
テルルは、ゲールが袋からアイテムを取り出そうとするのを阻止しながら、にこやかに説明する。
「・・・」
「住居まで案内してもらえますか?」
「はい」
ゲールはテルルの言葉に従った。


棺桶の中には、白い右手が置かれていた。
「右手か。
なかなか、美しい手だね。
さて誰の手かな?」
ライトはつぶやいた。

「・・・」
「まあ、君に尋ねるより
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