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形而下の神々
ナツキ・エンドーと白い女神
ナツキ・シライと写真
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私の祖母は今年で85歳です。彼女はナツキ・シライを名乗り、祖母の一番の親友だったそうです』

「ナツキ・シライ……」

 この写真の人物、白井菜月が遠藤菜月と同一人物ならば彼女は80歳以上という事になる。ベルリンの壁崩壊の時期の写真より更に昔の写真になるから、これではより謎が深まるばかりだ。

「ぬぅ〜ん……」

 訳が分からん。同一人物な訳は無いが、苗字が違うだけで下の名前は同じ。見た目も全く変わらないとなれば。

 「同一人物で無いにしろ、なんらかの関係はありそうだよな」

 面白い。考古学は推理の学問だ。俺の推理力で遠藤菜月を見付け出してやる。

「グランシェ行こう」
「は?何処に?」

「この写真の持ち主のところへさ」




 そう言ってやって来たのはフランスの郊外。新幹線に揺られる事約3時間の片田舎だった。

 しかしながらまだ刈り入れられていない小麦たちは延々と広がり、市街地では感じられなかったフランスの農業国という一面を感じさせる。更にはその向こうに微かに見える山々はこの季節でもなお青々としており、自然の力強さを感じずにはいられない。
 金の小麦畑の隣には思わず癒されてしまうくらい小さな謎の小屋や、レンガ作りの大きな家屋も見られた。昔のフランスはこんな感じだったんだなぁと少し俗っぽ過ぎる生活をしていた自分を恥じた。だからと言って一度上げた生活水準を元に戻すなんて出来る人間はそう居ないだろうけど。

「いいか、ちゃんとした言葉遣いをするんだぞ?」

「わかってるよ、ってかタイチはフランス語は大丈夫なのか?」

「当たり前だ」

 その家は平野の中の市街地にある一際大きな家だった。市街地といってもテントの店が立ち並び、街灯が道の両脇に立ってる広い道って程度だが。と、約束の場所に行くと先に付いていたのか一人の紳士の姿が見えた。


「ようこそ、何もないこんな片田舎に」
「いやいや、素晴らしい土地ですよここは。それに仕事ですので何処へだって行きますよ」
「ほぉ、それは立派で……」

 テキトーに挨拶を済ませ、30代前半くらいのハンサムなおじさんについて行く。この人が写真をアップした男性だ。
 このハンサムには『遠藤菜月の不思議を暴くTV番組』だと言っている。

「祖母に合わせますね。ボケてはいませんが気難しい方です。ナツキ・シライさんの事についてはご機嫌で話してくれますが、あまり他の深い話しは詮索してやらないで下さい」

「あ、勿論です。気をつけます」

 そう言いながら家の中に案内される。格調高い家具などは一切ないが、どことなく温かみを感じさせ、機能性も良さそうな家具たちはレンガ作りの家に見事にマッチし、彼のセンスの良さをうかがわせた。
 まぁ、これを選
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