第三十六話
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?アタシらには聞かせられないような話なら仕方ないけどさ」
思わずレイミアが口を挟むと他のみんなも彼女に同意した。
クロード神父が頷いてみせたので、俺はもう1年ほどの未来に差し迫ったことから話はじめた。
「もちろん皆さまから手放しで信じていただけるとは思っていません。でも信じていただきたい……」
「わたくしがヴェルダン王国に拉致されて、それを救援にシグルドが来てくれて……それがもとで反逆者に仕立て上げられ、そしてお父様がクルト王子殺害の冤罪を着せられるだなんて、にわかには信じられません……」
「ヴェルダンの国王って良く言ゃあ慈悲深い、悪く言ゃあお人よしって聞くからねぇ。闇司祭にころっと騙されちまうってのも無いことも無いと思うが……う〜ん。話自体の信憑性ってよりはアタシは王子自体を信じてるからねぇ、そんなアタシが何か言っても仕方ないか」
「杖っていうのは、真実を教えてくれるのでしょ?ミュアハの言う事とおにぃ……神父さまの仰ることが同じなんだし、あたしは信じようと思います」
「ミュアハ王子、おそらくあなたは杖の示した未来を止めたい、あるいは変えたいとお思いなのでしょうけれど、果たしてそれが人の力で叶うのでしょうか?」
俺がそれに答えようとすると、この塔の職員が階段を駆け上がってきた。
「大変です!海賊が襲ってきました。クロード様はどうか地下の秘密の通路からお逃げください!」
「なんだって?」
「まずは、ここを降りましょう。 ここの人々を見捨てて逃げることなど考えにも及びません。みんなで入り口の門を守ればなんとかなるでしょう」
「そうは仰っても神父さん、武器は船に預けてきたんですよ、場合によっちゃあ…」
俺たちは階段を駆け下りながら前後策を相談していた。
俺は掃除用のモップを幾本か目の端に見つけたのでレイミアに1本渡し、
「神父様とエーディン様、それにシルヴィは地下に隠れてください、わたしとレイミアで正門を守れるかやってみます」
「そうだねぇ、やるしかないか」
一階まで降りると何人か怪我人が目に入った。
正門を見ると、厚い木の扉を押さえつけている職員が何人かいたので俺とレイミアは加勢した。
神父様たちは怪我人に癒しの杖で治療を行っている。
「このまま扉を押さえているだけじゃ事態は好転しないだろうし、打って出ようと思います。あなたの腰のものを貸してください」
怪我を負った者の中に、レイミアの部下が居た。
ここへの伝令として駆けて来たが身軽さを優先したのだろう、携えていたのは剣1本だけであった。
それをレイミアは受け取ると、彼女は幾度か振って具合を調べた。
俺はもう1本のモップを彼女から受け取った。
「ちょっと見てなよ…」
レイミアはそう言うとモッ
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