第三十六話
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か大司祭とも言うべきクロード神父が一緒とは知らず、後で知って驚いたそうだ。
船の護衛にはジャコバンと数人の傭兵、加えてレイミア自らという気合いの入れようだった。
街の方にももちろん人員は残してあり、もと騎士とその副官を残してきたので手持ちの兵の運用も問題無いということだ。
そういえば大剣使いだったレイミアが、今は普通より小ぶりの剣を二本左右に差していたので二刀流にでも転向したのか聞いたところ、船上での戦い用だそうだ。
一刀のみで戦うが、片手は空けてバランス取りに専念するそうで、まだまだ彼女から学ぶことは多いと身にしみた。
下船した俺たちだが、船を守る為ということでレイミア以外の傭兵は船の近くに留まり、バーハラから来た者と彼女を加えた一行だけで塔へと向かった。
参道にはみやげ物売りや軽食を売る者などが普通の業者に比べればおとなしく客引きをやっていた。
クロード神父はシルヴィアにシンプルな意匠の腕輪を買ってあげていて、その喜ぶ様子がほほえましかった。
途中の食堂でみんなは食事を行ったが、俺はどうせ帰りの船で具合が悪くなり、せっかく食べた料理が無駄になるからと断って、みんなとの会話や食事風景を楽しんだ。
クロード神父おすすめのオムレツは見てるだけなのが辛くなるほどの逸品で、そのふわとろ加減の絶妙さと香りの良さに俺も思わず頼みたくなったが…。
食事の後は塔への巡礼だ。
もっとも俺は付いて行くだけのようなものであるのだが……。
塔に入り係の人間はクロード神父の訪いを知ると恐れ行ったものだが、そこは内密にということで先へと進んだ。
塔の内壁には聖者マイラの絵物語が描かれており、エーディンさんが聞き手、クロード神父が語り手となりマイラの足跡を俺達に教えてくれた。
最上階へ辿りつきクロード神父が壁面の煉瓦を押したり引いたりすると中央の祭壇に1本の輝く杖が顕現し、彼はゆっくりとそれに近づき手に取り、目を瞑ると神経を集中し始めた。
様子を見ていると苦しそうに顔を歪めたり、したたる汗が、尋常では無いことを物語る。
やがて目を開き深呼吸した彼はいつになく厳しい表情で
「ミュアハ王子…以前あなたが仰ったこと……間違いありますまい、出来うることなら外れて欲しかったのですが……」
「申し訳ありません…ところでクロード様、杖が示したビジョンの中にクロード様の姿はございましたか?」
「王子が悪いわけでは無いでしょうに……そして私の姿はありませんでした。最後以外は……つまり私にはこの凶事に於ける役割というのが無いのかもしれませんね」
「これはあくまで、わたし個人の考えですが……クロード様の姿がそこに無いということは、クロード様の働きでそれが変わるということにもならないでしょうか?」
「いったい全体どういう話なんだい
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