第三十六話
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れよ〜………ふーさっぱり」
唇の鮮やかな紅が落ちたくらいでさしたる違いは無いように見えた。
「…なぁ、ズルしたんじゃないのか? レイミアはあんなに酒強くないだろ?」
「こちとらホームでの勝負だからな!お前も審判だったんだから共犯ってもんさ」
にやっと笑った彼女はそう言うと俺を引っ張って部屋に連れ込むと、まずはシルヴィアをベッドの上に寝かせてやったが、そのときに頭を撫でてやってたのが印象的だった。
「さーて、王子、アタシからの問題だ」
「ん?なんだい?」
「あの子を酔いつぶしたアタシの狙いはなーーんだ?」
「……俺へのあてつけ?」
「ふふん。違うよ、こうするためさ」
そういうと彼女は俺の手首を掴んでベッドのほうへ引っ張るので逆らわずに付いて行き、促されるまま俺はベッドに上がった。
「この子がさぁ、アタシとお前が寝てたなんて知ったらお前刺されちまいそうだし、でもアタシは久々にお前をぎゅーーっとして寝たいし、ということで酔っぱらって3人で寝ちゃったってすることにした」
「無茶苦茶だなぁ」
「ただし、アタシはズルしたし、お前はこんな子が居ること知らせてくれなかったってことの罰で、えっちなことは絶対ナシな」
「うん。それと…シルヴィアはまだ婚約者とかって訳じゃなくて、お互いもっと大人になってからそういうのは考えようって一緒に約束したから。……大事な子ではあるけど」
「……ふーん。まぁ、いいさ、もすこし側に来てくれよ…」
互いに眠りにつくまでの暫くの間とりとめもなくいろんな事を語り続けた。
………こんな安らかな眠りは何年ぶりだろう。
「ちょっと! コレってどーいうことよーー!」
まだ明け方のころ、シルヴィアの大声で目を覚ましたがレイミアも同じようだった。
「あー、飲み過ぎでアタマ痛いんだから静かにしてくれよぉ」
「あんだけ飲んでお前は二日酔いならんのかよ…」
思わずレイミアのリアクションに合わせてみた。
「びっくりしてそれどころじゃないわよ!」
「ハイハイ、いー子だからもすこし寝ようね…」
「勝負の結果はっ!」
「そんなのいいから布団に戻ってよ、さむい」
すこし逡巡したあとにごそごそと布団の中に戻ってきたシルヴィア…うん、いい子だ。
初めはぶつくさ文句を言っていたがどうやらこの雑魚寝が気にいったのか、すやすやと寝息を立てはじめた。
……その日、3時間ほどの船旅のあとブラギの塔へと辿りついた。
塔はあの世界遺産モン・サン=ミシェルのような小島の中の聖堂の代わりに佇立しているという趣だが……早く下船したかった俺には船から眺める姿を楽しむ余裕は無かった。
俺たちの他にも一般の巡礼者もいたが、まさ
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