第三章
ようやく彼らはクッキーを作り始める。
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伝うと言われて嬉しそうだ。えーっ! 何そのラブコメきらきら空気やめて! 光に毒される。...これ俺いらなかったんじゃね? 比企谷が一言「俺と一緒にクッキーと二人の新しい命つくろうぜ☆」って言えばよかったんじゃ...。よくなかっただろうね。うん。
えー、とにかく羨ましいだろうが!
「別にあなた達の料理の腕に期待はしてないわ。味見して感想をくれればいいのよ」
「お言葉だけど雪ノ下さん。とりあえず俺の中で、これからクッキーを作る流れができているんだ。...つまりクッキー作る気まんまんだから雪ノ下さんの言ったこと普通に聞かなかったことにするね? ―ん、雪ノ下さん、なにか言いたそうだね、どうかしたの?」
「あなたは一体何様のつも...、―いえ、何でもないわ」
『...?』
「 (目が恐ろしいほどに腐っていたっ...!) 」
ふぅ、...まあ何だ、いいなー。いや、いいなー由比ヶ浜さんは。きっと笑顔にしてあげたい人のために努力できて、きっとその望みを叶えてしまうのだろう。
そんなの、うらやましいだろうが。
...こっちは努力しても何の意味も見い出せないのにさ...。
だから、俺のような失った者は持っている者を自分の経験則で見守らなくてはならない。...それはまるで死者のように。
『君の努力には価値がある』
「...?」
家庭科室に続いているであろう廊下。
俺は由比ヶ浜さんに聞こえるくらいの声で小さく小さく囁いた。
そして、心の中で溜め息を吐き出すかのように呟きを吐き捨てたのだった。
『俺には無い二十円の価値が君には有るのかもしれないね』
...その二十円の価値が、俺にはとても羨ましい...。
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