再会
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にあるのか。
「全部……お前らのせいだって言うのかよ!」
ゲツガは怒りがこみ上げてくる。そして、その横に視線を動かすとその部屋の奥のほうに小さな部屋があるのに気付いた。その部屋には玖珂様の妃の部屋と書かれていた。
「この部屋に……ユキが……。何がテメェの妃だ、勝手に決め付けてんじゃねえぞ!」
ゲツガは案内版に拳を叩きつけた。そして早くユキに会いたい、ゲツガは格納室に向けて走る。しばらくすると、ようやく実験体格納室と書かれた扉の前に着く。ゲツガはその扉を蹴り開けて中を確認した。そこには驚くべきものがあった。
「なんだよ……これ……」
そこにあったのはホログラムのように投影された青く半透明な人間の脳みそであった。それを見て一瞬、足を後ろに下げそうになるが堪える。そして、ゆっくりと部屋の中を歩き出す。
「これ、全部、未帰還者のものだって言うのかよ……なんてことをしてるんだ……レクトは……」
ゲツガはあたりを見回しながら先に進んでいく。この脳みそみたいなもので何かの人体実験をしてるのだろうか、考えようとするが、ゲツガの考えるのをやめた。とにかく、今は考えている場合じゃない。ユキを助け出さなくては、再び足を速める。そして、沢山の脳みそのようなものの先には四角い何かが浮かんでいた。しかし、その奥に扉があった。この浮いた四角い物体も気になるがこの先にユキがいるかもしれないと思うとこの物体よりも先に扉のほうに歩みを進める。
この先にユキが……。
ゲツガは扉に手を掛ける。そしてに手を触れる。すると扉から小さな電子音が響き解除された。ゆっくりと開く。そして、入ると人一人が通れる短い廊下に出た。そのおくには、更に扉がある。ゲツガは走って扉の取っ手を掴んで扉を勢いよく開けた。そこは、少し大きめの部屋でアンティーク系の家具が少々置かれている。そしてベットの上には体を丸めて座っている一人の少女がいた。
「ユ……キ……」
ゲツガはその少女の名前を呼ぼうとしたが声があまり出なかった。しかし、少女にはその声が届いたようで顔を上げた。そこに居たのは、ゲツガの最愛なるユキであった。
「ゲツ……ガ……君……。本当に……ゲツガ君なの?」
「格好は全然違うけど、俺だ。ゲツガだ……」
ユキはベットから足を下ろすとゆっくりと近づいてくる。ゲツガもユキのほうに近づく。そして手の届く距離まで近づいたゲツガは、ユキを抱きしめた。
「ユキ……ゴメンな……来るのが遅くなって……」
「遅すぎるよ……私、待ちくたびれちゃったよ……ゲツガ君」
そして互いの温もりを確かめ合うように強く抱きしめた。
ようやく、ようやく逢えた。
ゲツガはそう思うと不思議と涙腺が緩んだのか涙を流し始める。
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