第二幕その二
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は丸眼鏡をかけ、白い顎鬚と口髭を短く切り揃えている。その顔は何処かアルフレードを思わせるものがあったが顔立ちは彼よりさらに理知的な趣があった。
「こんにちは」
彼はシルクハットを脱ぎヴィオレッタに対して挨拶をした。見れば白い頭はもう髪の毛がかなり薄くなっていた。
「ヴィオレッタ=ヴァレリーさんですね」
男は彼女にそう尋ねてきた。
「はい」
ヴィオレッタはそれに頷いた。それからまた尋ねた。
「貴方は」
「私はジェルモンと申します」
「ジェルモン」
ヴィオレッタはその名を聞いてその整った顔を強張らせた。
「まさか貴方は」
「はい」
彼はそれに頷いた。
「私はアルフレードの父でございます」
「そうでしたか」
沈痛な顔になった。だが態度までは崩さない。冷静さを何とか保ちながら彼を向かい合った。
「そして今日は一体どのような事情でこちらに」
「息子のことで」
彼はヴィオレッタを見据えながらそう言った。
「あれは世間知らずな男でして」
「そうなのですか」
「詰まらない女に惑わされ、道を踏み外そうとしている。嘆かわしいことです」
「そえは誰のことでしょうか」
その整った眉を顰めさせて彼に問うた。
「あえて申しますまい」
「お話はそれだけですか」
キッとしてそう問う。
「それでしたらもうお話することはありませんが」
「いえ、私の方はあります」
ジェルモンは引き下がることなくそう言い返した。
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