暁 〜小説投稿サイト〜
IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
とある噂の広め人
[8]
前話
前書き
[1]
後書き
夜、拓夢は一人ベッドに寝転びながら考え事をしていた。
思い出されるのは一人の少女についてだ。
名前は言わずも分かるであろう、相川清香である。
「・・・・・・」
染み一つない天井を見つめながら、ぐるぐると頭の中に浮かんでは消える昼間の出来事。
彼女が来る前も十分に楽しいものだったが、清香が加わっただけでその楽しさが倍にも膨らんだようにも感じたのは事実である。
「俺は、一体どう思ってんだろうな・・・」
既に忘れてしまった方もいるかもしれないが、彼は前世の記憶を持つ。
そのせいで、人の感情に必要以上に敏感に慎重に臆病になってしまっている。
外面ではこうだが本心はどうなのか?
前世とは明らかに違うことは分かってはいるのだが、それでも不信感というのだろうか、心の奥底では信じ切れていない自分が居ることが分かっているのだ。
「くそ・・・、やりきれねぇな」
ごろんと、天井を見つめていた視線を90度ずらし横向きになる。
やはり何度考えても答えは同じだ。
「好き・・・なのか」
顔が無意識に赤くなるのが拓夢には分かった。
こういう時は、一人部屋なのがありがたい、恥ずかしい顔を隠すことなく、自分の気持ちに向き合える。
煮え切らない、吹っ切れない、きっかけが欲しい。
それが逃げていることなのは分かっている。だが、怖いのだ。
相川清香は拓夢の生活に深く関わっている。
もし告白して清香にその気が無かったら、拓夢の生活はこれまでとは明らかに異なってしまう。
席も前後、勉強も教えてもらっている、飯を食べるのも一緒だ。
つまり、振られることは拓夢の人生を大きく変えることになる。
拓夢のことを良く知る一夏でさえ、ここまで臆病なのは知らない。
拓夢は今まで、本心を誰にも話した事は無かった。
それは拓夢にとっての最後の境界線、この世界との一線、唯一の逃げ道。
これだけはどうしても超えられない、何があろうとも。
「はぁ・・・、駄目だ考えてもはじまんね」
夕食に出ることも無く、拓夢は電気を消して布団にもぐりこむ。
既にシャワーは浴びているので、格好はシャツにパンツ一枚だ。
素肌に当たるシーツの感触が気持ちよく、その冷たさが眠気を誘う。
「寝よ。寝てリセットしよ」
負の連鎖に落ち込んだ頭をリセットする前に、拓夢は夢の世界へ逃げ込むことにした。
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