第三十五話
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のことちゃんと紹介してよ…」
不安そうなシルヴィアの顔を見て、俺は舞いあがってしまった自分の失敗を後悔した。
レイミアはジャコバン達にいったんアジトへ帰るよう指示すると
「ずいぶんかわいい娘さんだね。王子の婚約者かなんかかい? とりあえず、アタシはさっき名乗った通りでレイミア、昔はちったぁ違う名前を名乗っててね。王子とは2年ちょい同棲してた」
「どっ、どーいうことよー!」
ガタッと音を立てて椅子から立ちあがったシルヴィアは俺とレイミアを交互に睨みつけて握った拳を震わせていた。
「シ、シルヴィ、ちょっと待って、前も話したろ、俺がトラキアに人質に出されてた時にお世話になってた領主様なんだよ、レイミアは!」
「…だって名前とか女の人とか聞いてなかったし、それに同棲ってどういうことよー!」
「う〜ん、一緒に暮らしてたのは確かに本当だからなぁ…」
「アタシはウソは言ってないよ?ず〜〜っと一緒に仲良く暮らしてたからねぇ」
「シルヴィアさん、はしたないですよ、お席に付いてください。そして、レイミア様とおっしゃいましたね、誤解を産むような表現をわざとなさるのはお控えなさったほうが今後の互いの関係に資することとわたくしは提案いたしますが、いかがでしょう?」
…エーディンさんのとりなしによりシルヴィアは席についたが、まだ気持ちは治まらないようだ。
「どうもスミマセン、では王子のほうから子細を語っていただきますので黙りますが、違うところがあったら突っ込みますので」
…ということで俺はシルヴィアにレイミアとのこと、レイミアにはシルヴィアのことを語った。
「…まぁ、王子はアタシの命の恩人ってわけです。あのままだとトラバントに殺られましたから」
「いや、あそこで見殺しにしていたらわたしは未だに虜囚の身でしたからレイミアのほうこそわたしの恩人になります。それに、人質と思えないくらい自由に過ごさせてくださいましたので」
「なるほど、そういう事情があったのですね。互いに恩人と思い合うあなた達を神は嘉したもうと思います」
クロード神父がいいタイミングでいい事を言ってくれて助かった。
「あたしにとってもミュアハは……恩人…です。こうして兄様かもしれないひとに会わせてくれたもの」
クロード神父もエーディンさんも満足そうに頷いた。
そうするとレイミアが
「生き別れの肉親と言えばエーディン公女、あなたにもおられますね。王子に言われて調査してましたがある程度可能性の高そうなものが上がってきたので…」
…これは今回の目的の一つだ。
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