第三十五話
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感じるほどの礼拝所であったが、手入れはよくされているようで黒光りする木製の椅子や調度品、よく磨かれた床は時折光を反射するほどであった。
ここの責任者の聖職者と挨拶を交わし、聖地へと向かう事を告げると道中の無事を願ってくれた。
俺達も礼拝所で祈りを捧げ、しばし静謐な時間を迎えた。
「シルヴィのお祈りする姿、一生懸命で偉いなって思ったよ」
「あたしだってエッダの末裔だもん、まだあんまりだけど勉強もしてるんだよ! それに…」
「それに?」
「んー、カミサマってほんとに居るんだなって思っちゃうことがず〜っと続いてる…」
その言葉と共に俺の手をさりげなく握り、ぱあっと花が咲いたような笑顔をまた見せてくれた。
俺が握り返してお互いに見つめ合うと咳払いが聞こえたので、あわててお互いに手を離して下を向いた。
宿に辿りつき、手続きを済ませてから併設の食堂で人心地ついていると、窓から外を見ていたジャコバンは俺たちにレイミアが着いたことを告げた。
数人の人物を引き連れて彼女が入ってくると宿の主を含め従業員が姿勢を正し歓迎の挨拶を行った。
…ヤクザの親分かよ!
俺が席を立ち、彼女のほうを向くと凄い勢いで駆けよってきたので俺も思わず走り出し、自然と抱擁を交わした。
すこし目の端がうるっとしている彼女は昔に比べ、少しだけ化粧くさかった。
「久しぶりだな!、ずいぶんでかくなったじゃないかい!」
すごい力で俺を抱きしめながらレイミアはそう言い、いったん力を抜くと
「でも、一目でわかったよ!でもなぁ…ほんと…」
俺の方が逆に彼女の背に回した手に力を入れると少しだけ膝を曲げ、互いの頬を擦り合わせた。
「この街のいくつかの傭兵隊の内の一つの長でレイミアと申します。皆さまの旅の安全を全力でお守りします。 多少のご不便はおかけするかもしれませんが、どうか一つお任せください」
俺との抱擁のあとレイミアはいずまいを正し、クロード神父達にそう真面目くさって申し出た。
「はい、ミュアハ王子よりお噂はかねがね…私はそういう荒事は他人任せですから、隊長どのの流儀でお願いしますね」
「はっ、かしこまりました」
「どうか、楽にしてください。ここは王宮ではありませんし、王子とのやりとりを目にしたところあなたは本来そういう口調の方ではなさそうですから」
「恐れ入ります。…じゃっ、遠慮なく」
「ところで、レイミア。お代はどれくらいが相場になります?用意したので足り無ければ後で為替になるけれどそれでもよろしいです?」
「何言ってるんだい、アタシがお前からカネなんて受け取る訳ないだろ?」
「レイミアが良くても部下の方はそうはいかないでしょう?」
「ねぇ、ミュアハぁ、この人
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