アインクラッド編
その気持ちの名は――――
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ランタンの火は全て消され、安全地帯はほぼ真っ暗、となっていた。
規則正しい寝息を立てる者、いびきをかいている者、隣のプレイヤーに動きを阻害されたのか不快そうな声をわずかに上げる者。
多少の差こそあれ、すでに全プレイヤーが寝ているだろう。
こんな風に全員で雑魚寝するのだから、どこかから楽しげな会話の音1つでも聞こえてきても不思議ではないが、長時間ボスとの戦闘を行った攻略組プレイヤーも1日中武器の研磨に勤しみ続けた鍛冶屋も貴重な休憩時間に体力を削るようなマネはしていない。
かく言うアスカの隣でも既にケイタとダッカー、ササマルとテツオは同じ寝袋にくるまってスースーと、寝息を立てている。
攻略組先輩としてアスカもここは早く眠りにつくべきだろう。
しかしながら残念なことにアスカにはまったくもって眠気が襲ってこなかった。
それはアスカの背後で同じ寝袋に入っている人物も同じようで、先ほどから何度か落ち着かないように体を動かしているのが分かる。
その動きが伝わってきてまたしてもアスカの意識を覚醒してしまう。
既に30分近くこんな状況が継続中だ。
〈血盟騎士団〉副団長アスカもさすがに――――同じ寝袋で女性プレイヤーとぐーすか寝られるほど肝が据わってない。
「はあ・・・・・・・・」
何でこんなことに、と思わずにはいられない。
「悪い・・・・・・」
「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」
と、謝罪したキリトに何も言えずに男性陣5人が固まっていたのはほんの30分前。
ほかに上手いこと難を逃れる策を思いつかなかったのはアスカ達も同様なのだ。
さすがにキリトを責め立てられる状況ではなかったし、そう時間が残されている状況ではなかったので、すぐに今後の対策を考えた。
簡単に言えば、3つの寝袋でどうやって6人全員が寝るか、だ。
「どれか1つに頑張って3人入ったらどうかな」
と、ケイタが始めに、
「誰か1人が気合いで寝袋無しで寝る」
と、ダッカーが続いて意見を出したが、2つの意見は即座に却下された。
ケイタの意見だが、2人用の寝袋に3人入ると、身動き一つ取れなくなり寝られない。
付け加えて寝袋の生地が凄い力で引っ張られるせいで耐久値減少が激しい。
下手すれば朝まで寝袋の耐久値が持たずに壊れてしまう。
ダッカーの意見は誰か1人犠牲になればいいだけ、と思ったが、今は現実世界では11月。
防寒具無しで夜を過ごすのには少し厳しい寒さだ。
とてもではないが心地よくは寝られないだろう。
いくらこの世界にバッドステータス〈風邪〉が無かろうと、無茶をして明日のボス戦に影響を及ぼそうものなら、本末転倒も良いところだ。
と、意見を交えて2つの意見は退けられたが、そんなこと考
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ