アインクラッド編
その気持ちの名は――――
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しな」
かなりきつい言い方だったが、かれこれ1年間アスカと交流のあるキリトは言葉の真意をくみ取ったのか、
「ん、ありがと。じゃあ先に寝るな・・・・お休み」
「ああ」
短くアスカが答えると、数分後には隣から規則正しい寝息が聞こえ始めた。
どうやら本当に眠くなったらしい。会話するだけで緊張が解けるとは羨ましい。
現にアスカは未だに意識が覚醒している。いや、会話前より明瞭としている。
理由は分かりきっている。
だが団長が時間を稼いでいる時間を無為に使うわけにはいかないと、考えるのを止めて無理やり目を瞑った。
いや、本当は考えたくなかったのだ。
自分の本心が、どうなっていることを意味するか、その感情の名に心当たりがある気がしたから。
わずかばかりの可能性があったから。
しかし、認められなかった。
なぜなら、その感情を認識してしまうことは――――――
結局、アスカが眠りについたのはそれから1時間近く経ってからだった。
軽快な弦楽器の演奏が聴覚野一杯に響き、アスカは目を覚ました。
この世界ではアラームを設定すれば、必ず目を覚ますことが出来る。
便利なことに他人には聞こえないようにまで変更可能だ。
まあ、二度寝するかは各人の自由ではあるが。
めずらしくアラームで目を覚ましたアスカ―――いつもはアラームが鳴る前に跳ね起きている―――は、隣で寝ているキリトを起こさないように寝袋からそっと抜け出した。
時刻は5時半。全員に伝えた起床時刻より30分早い。
理由は単純。女子と2人で寝ている状況を先に起きたプレイヤーに見られる可能性を減らすためだ。
キリトが女性プレイヤーであると知っているプレイヤーはごく少数なので心配する必要もないかもしれないが、大衆の目がある場所だ。万が一のことがある。
昨日、眠りについたのは夜中の2時を回った頃だ。
3時間と少ししか寝れていないが、こっちの世界に来てから5,6時間も熟睡できたことがないので、今ではこれが普通だ。
疲労も感じない。
みんなが起きるまでボス戦に備えておこう、とウインドウを操作してボス資料を捲っていると、
「んー・・・・っ、おはよう」
アスカの隣で寝ていたキリトが目を覚ました。
1人になったことによりスペースの広くなった寝袋から大ぶりな動きでキリトが体を出す。
「早いな。まだ30分あるぞ」
「いや、他のプレイヤーより後に起きるとマズイからこの時間に起床アラームセットしてた」
どうやら同じ事を考えていたらしい。
キリトが大きく伸びをし、体をほぐすような動きをする。
この世界には筋肉などという概念がないので、どんな体制で寝ても筋肉痛になったりしない。
アスカが視線をやっていると、「これをし
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