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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
一章 王宮の女戦士
1-23お風呂

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「ライアンさん!すごいよ、お風呂楽しいよ!湯気がもわもわって、石鹸がふわふわって、あったかくて、いいにおいで、気持ちいいの!ププルくんと、流しっこしたんだよ!」

 ホイミンは風呂が気に入ったようだ。

 元々、手触りは良かったが、さらに艶を増して光っている。
 ププルがよくしてくれたのだろう。

 良かったなと撫でてやろうとして、やめる。
 汚れてしまう。

「私も風呂に行ってこよう。もうベッドに上がっても良いぞ」

 ホイミンは少しがっかりしたようにしながらも、気を取り直してベッドに降りる。

「いってらっしゃい、ライアンさん!」


 村人は家路(いえじ)に着き、調査に当たっていた王宮戦士も多くは撤収して、外は静まり返っている。

 湯船に浸かり、思う。

 助けた子供のひとりが宿の息子で、ホイミンと打ち解けたことから、苦も無く宿に受け入れて貰えたことは、本当に運が良かった。
 人と交わる最初の日から、締め出されるようでは辛かろう。

 目の前のことが片付いた今、これからのことも考えねばならない。

 世界を滅ぼす、地獄の帝王。
 看過できるものでは無い。
 しかし話によれば、勇者の力無くば打ち倒せないのであろう。

 希望の勇者は、(いま)だ子供。
 ならば、守らねば。
 どうやって。

 王宮戦士として、できることは幾らも無い。
 そもそも、バトランドにいるとも限らない。

 一介の戦士である自分が、守れるのは手の届く範囲だけ。
 守れると思うのか、予言されるような大きな存在を、自分などが。
 守りたいと思うのか、自分は。
 情報としてしか、知らぬ子を。

 世界の悪意に狙われるという、その子を。


 部屋に戻ると、ホイミンは眠っていた。
 まだそう遅い時分(じぶん)では無いが、今日一日のことを思えば、無理もない。

 よくここまでもったものだ、このまま寝かせておこうか、起こして食事を摂らせるべきか、食事は人間と同じで良いのか聞いていなかった、などと思いつつ、ホイミンを撫でる。

「ライアンさん……」

 一瞬、起こしたかと思うが、違った。
 目は閉じたまま、涙が一筋流れる。
 悲しい夢を見ているのか。

 今日はたくさん泣いたのだ、夢でまで泣くことは無い。

「ホイミン」

 揺り起す。

「ん……ライアンさん?あれ?」

 きょろきょろと周りを見回す。

「そっか。今は人間の宿屋さんで、ライアンさんと一緒で、ねむっちゃったんだ」

「夢でも、見たか」

「んっと、えっと。わすれちゃった」
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