幻影急襲
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機体が傾く。窓から見える右翼に配置されている2つのエンジンは見事に爆発していて、原型を留めていません。
この『ボーイング787』は3つのエンジンが潰れても1つあれば飛べるようには設計されているのですが……
「おい! どうなっているんだ! 右のエンジンが爆発したぞ!」
「分からん! 急に爆発したんだ!」
「どういうことだ! 誰か説明してくれ!」
機内は突如攻撃してきたISにパニック状態になっています。これが事故ならまだ機長とCAさんの説明で落ち着けさせることが出来るでしょう。しかし原因がISとなれば話は違います。
戦闘機よりも強力な兵器にただの民間旅客機が狙われる。それはすなわち死を意味します。
エンジンを撃ち抜いたことから見ればあのISは命を奪うという目的で撃ってきたわけでないというのは分かります。その気になれば戦闘力のあるなしに関わらずただの航空機は1分もこの世に存在することは出来ないですから。しかしそれは私が理解しているというだけの話です。何の訓練も受けてない一般人からすれば『ボーイング787』の性能もISの攻撃の仕方も関係ありません。ISが自分達の乗っている飛行機を攻撃してきている。その事実だけが目の前に突きつけられています。
「この飛行機は落ちるのか!?」
「機長を呼べ! 説明しろ!」
「お、落ち着いてくださいお客様! 席についてシートベルトをお締めください!」
CAさんたちが必死に落ち着かせようとしているけどかなり厳しいと思います。ファーストクラスでもこれでは下の階の人たちはもっと混乱しているでしょう。
この……状況を打破出来る選択肢は……
一つ目は近くの部隊の救援を待つ。正直これはかなりきついです。何せここは日本の排他的経済水域と赤道連合の勢力下とのギリギリの境界。この位置での襲撃は完全に狙われましたね。確率の低いものは頼りたくありません。却下。
二つ目は相手が見逃してくれるのを祈る。相手の動きから見ればエンジンだけ撃ち抜くという行為しかしていませんし撃墜の意志は低いと見えます。撃墜するつもりなら最初の一撃で終わっているはずですから。ただこの状況が続くとは限らないと言う点で却下。
3つ目。私が……『デザート・ストーム』で出る。
これが今の段階で一番可能性の高い選択肢です。ただあの未知のISにコアも外見も同じとは言え、たった数十分しか使ってない相棒で勝てるか……勝つ必要は無いですね。抑えられるかどうか。
外に出るにはこのまま扉を開けるしか……でも人がいるしどうやって……
辺りを見回す。震える人、怒鳴り散らす人、静かに待つ人、仕事を遂行しようとする人……いた!
私は目的の人を見つけると、シートベルトを外して揺れる飛行機の中をすばやく移動していく。
目的は、機長と
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