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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
幻影急襲
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 落ちそうになる途中で誰かに受けとめられる感覚がしました。多分、クロエ……かな。

『出血がひどい。急いで止血しないと』

 ふ、2人とも大袈裟………でも、無いのかな。

「ご、ごめんクロエ……落ちる」

「おう、任せて寝てろ」

「うん……お休み……」

 それだけ言いきると私の意識は闇に包まれた。



―――――――――――――――― ―――――――――――



「航空機、全機発艦完了」

「よし、可能な限り追い込め。ペイントだらけにされないように気を付けろ」

「は! 続いてIS隊の発艦準備にかかります。」

 スキージャンプ甲板が特徴のロシアのアドミラル・クズネツォフ級航空母艦『アドミラル・クズネツォフ』から世界演習に向けてSu-33が発艦を完了したところだった。
 艦橋では初老の艦長の指示に合わせて艦橋クルーが忙しなく動き回っている。
その艦橋の後ろの方ではプラチナブロンドでセミロングの髪を持つ女性、ラリサ・アレクサンドロヴナ・トルスタヤが戦況を見守っていた。ロシアに存在するIS研究開発企業『ヴィクトム社』に所属する国家代表であり、今回の世界合同演習には見届け役の一人として参加している。

「なあラリサ」

 そのラリサの更に後ろ、壁に体を預けて腕を組んだ薄い金髪の女性が声をかける。着替えるのが面倒だったのか、ピッチリとしたスーツで豊満な胸がよく目立つ。その上から面倒だったからなのか無造作に軍服を羽織って腕も通していない。さらに口には大型の葉巻をくわえて煙を吹かしている様はどうみても軍人と言うよりはマフィアと呼べる風貌である。

「はい、中佐」

 ラリサが振り返らずにその女性に答える。中佐と呼ばれた女性はそれを気にする風でもなく言葉を続ける。

「戦争は何が勝負を制するか知っているか?」

「今なら……ISでしょうね」

「確かに、戦力と言う意味では正解だな」

「中佐は違う……と?」

「ああ、違うな」

 そう答えたすぐ後に女性はラリサの隣を通って艦長のすぐ隣に立って声を上げた。

「艦長! これより緊急事態につき私が臨時に指揮を執る!」

「な……!」

 あまりに唐突な女性の言葉に艦長以下艦橋のクルー全員がその女性を振り返る。

「し、しかし演習の予定では……」

「近海で『この場にいないはずのIS』の反応を捕えた。本国を出る前に決定していた緊急事項に該当する。よってこれよりこの間の指揮は私が執る。よろしいな」

「く……いいだろう」

 艦長は苦虫を潰したような顔をしながら艦内放送で指揮が移ったことを知らせる。

「進路北西、前進微速。『ヴォールク』を出撃させろ」

「り、了解! 進路北西前進微速!
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