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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
幻影急襲
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を抜いたところから新たな鮮血が噴き出す。ナイフを投げ捨てて右腕の状態を確認……ダメ、動くけどその度に自分の口から悲鳴にならない声が漏れる。こんなのじゃ武器の反動にも耐えられない。だからと言って左腕だけで勝てる相手じゃない。そもそも両腕使えた時でさえほとんど歯が立たなかった。
 なら……答えは一つしかない。

 逃げる。

 これしかない。
 幸い私の乗っていた旅客機は既に日本の領空に入っていますし、私がここで耐える理由はなくなっています。

 なら勝ち目の無い戦いは、退くだけ。
 でもこの相手から逃げられるとは……

『何だ、逃げる気か』

 バレ、ますよね。完全に腰が引けてますし。

「あ、あなたは……」

 時間を稼ぐつもりは無いけど……どうしても聞いておかなきゃ……

「あなたは………亡国機業(ファントムタスク)……ですか?」

『答えると思っているのか?』

 相手が……ううん、敵が再び銃を構える。その先端についた銃剣が太陽の光を浴びてキラリと輝いた。
 私に残された武装は……武装はある。でも、右腕が使えない。正確には使えるけど、滅茶苦茶痛い。今こうやって何もしないだけでも鮮血が次々にあふれ出して右手の装甲の先端を伝って海に流れ落ちていく。でも、やるしかない!
 展開……『イェーガン』!

 槍を展開すると左手だけで中央部分を掴んで何度か振り回す。
 その槍を少しだけ柄の下を持って、手を離す。それと同時に左手を振りかぶって右肩の残っている『カイリー』を敵の右を通過するように投擲。左足で槍の石突を蹴り上げて再度左手で掴む。
 その瞬間に敵の放ったレーザーが迫る。その青い光に向かって私は掴んだ槍を思いっきり振り回した。

パァン!

 と乾いた音と共にレーザーが消滅する。
 『イェーガン』は自身がヒートランスという特性から柄の部分は非常に熱に強い構造です。つまり一時的とは言えレーザー系に対する防御も出来る。
 レーザー兵器にこれをやったのは初めてですけど流石! 開発局自慢の一品です!

 続いて放たれるレーザーの雨を槍自体を高速回転させることで弾き続ける。

―『イェーガン』温度急速上昇、危険域まで30%―

 く、やっぱりこの量のレーザーは排熱が追いついてない! ISのセンサーは『イェーガン』がもうもたないとしきりに伝えてくる。
 ダメ、せめて後5秒!

 1発を弾く、2発、3発、4発!

―『イェーガン』危険域到達!危険域到達!―

 まだ! 後2秒!

 5発、6発! ……もって! 7発!

 もった!

 左手を振りかぶる。当然その間も敵からのレーザーが降り注ぐ。
 発動したのは一回だけ。クロエとの模擬戦で、しかも偶然。でもこれに賭ける!
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