第二十四話 返事、第二ラウンド
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協力して発動させることが最も効果的と言われているため、魔導師の教育にもデバイスに頼らない魔法の訓練が組み込まれている。
それでも今なおデバイスに頼り切りの魔導師も多い。昔はさぞたくさんいたのだろう。
誠也は幼いころから祖母に叩きこまれた訓練の成果によって、今こうして立つことができているにすぎない。
『我ヲ昔封印シタノモ、貴様ノ様ナ機械ニ頼ラナイ魔導師デアッタ。』
機械王は誠也を一瞥し、己の過去を明かす。
誠也は何故このタイミングで、と疑問を持ったが、どちらにしろ、誠也にとっては好都合しかないためその疑問を口に出すことはなかった。
『アレハ七十年ホド前ノ話デアッタダロウカ………。』
新暦90年ごろのこと。
その頃、機械王はとある次元世界のとある遺跡にて封印されていた。
その遺跡のあった次元世界には多くの人が住んでいたが、そこはその世界では悪魔の住む地として言い伝えられていたため、未だ誰も近づいたことがなく、機械王の封印されている遺跡は誰にも発見されたことはなかった。
この時までは。
つまり、誰かが封印を解いたのだ。
『我ヲ目覚メサセタノハ誰ダ?』
起きぬけ一番で機械王はそう問う。
ぼろぼろの鋼の巨躯の頭を振り、誰も見つからなかったからだ。
「僕だよ。」
その声が聞こえてきたのは足元からだった。
足元の方へ眼をやると、そこには少し薄めの色をした金髪の男性がそこに居た。
『人ノ子ヨ。何故コノ地ニ踏ミ入ッタ?』
「僕は新しく見つけた遺跡を発掘しに来たんだ。」
碧眼を覆うその眼鏡をクイっと直して、男性は機械王にそう告げる。
「だから本当はあなたを起動させるつもりはなかったんだ。ただあなたを封印していた術式に触れたら、何もしなくても封印が解除されてね。」
不可抗力だったんだ。男性はそう言った。
だが、機械王にとってそんなことはどうでもよかった。
かつては己の願いを達成することはできなかった。
なぜならそこには邪魔ものがいたからだ。
一人は自爆人形を使役した王。
一人は義腕でもって剛腕を振るう優しい王。
一人は大切な者のために命を賭けて覇をなす王。
一人は稲妻で全てを薙ぎ払う王。
幾多の王達が機械王の願いを阻んだ。
普段争い合い、決して相容れない多くの王達が、その時だけは結託して。
そして戦いの果てに機械王は封印された。
今の体はその時の損耗した状態のままだ。
だが、ここを抜け出す程度の力は残っているだろう。
王はそう判断する。
『人ノ子ヨ。我ヲ起コシテクレタコトニハ感謝スル。タダ、我ニハ為サネバナラヌ悲願ガアルノダ。』
この言葉を聞いた男性は非常に決意に満ちた表情をしていた。
恐らく初めから予感そのものはあったのだろう。
封印されているということはそういうことだ。
なんとなく嫌な予感
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