ファントム・バレット編
ファストバレット
依頼人の品格
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はコイツの本心ではあるだろう。だが、それは本心の一部でしかない。それを知っている俺としては何とも複雑な気分になるのだった。
「……VRゲーム世代の若者に理解のある、アンタの理念は善意に解釈しておこう。だが、そこまで本気にしているなら直接運営に当たったらどうなんだ?」
「和人、残念ながら運営している《ザスカー》はアメリカにあるんだ。この眼鏡は一応有能ではあるが、一存で海外に捜査の手を伸ばすとなると難しいんだ」
「詳しいんだな?」
「……ぶっちゃけると、俺GGOやってんだよ。だから今回は不馴れなお前のサポートなわけ」
「……なるほど」
じゃあ俺が行けばいいじゃん。とはいかない。理由?大人の事情というヤツだ。
「そうゆうことで、真相を探るにはゲーム内で直接会うしかないんだよ。銃撃されろとは言わない、君の眼から見た印象で判断してくれ。――行ってくれるね?」
和人はしばらく難しい顔で考え込むと、やがて承諾した。
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和人はこの後デートのため、先に帰った。残っているのは菊岡と俺だけだ。
「……菊岡、請け負った後でとやかく言うのは俺の趣味ではないが、今後はこ
うゆうやり方は控えてくれ」
「すまないね。こっちも予算的にきついんだよ」
「……わかってら」
仮にも特T級国家機密機関の構成員なのだ。国から要請があれば動くが、その費用はバカにならない。だから菊岡は民間人である『桐ヶ谷和人』から『友人』として護衛を頼まれた。調査に協力してくれた民間人である『水城螢』には『任意』の報酬しか発生しない。という子供の屁理屈を使って低コストで俺を運用しているのだ。
そこら辺の大人の事情は俺も理解しているので了解して協力しているが、こっちはこっちで上がうるさいのだ。
さらにホークス内での内部派閥がそれに拍車を掛けている。
『総帥派』つまり客観的に見れば正当の派閥である『第一、二師団』と菊岡率いる『プロジェクト・アリシゼーション』は良好な関係を築いている。だが、反乱分子の巣窟こと我らが『第三師団』は残念ながら菊岡達のプロジェクトに懐疑的だ。理由は幾つかあって、双方の和解はまず望めない。
だが、個人的な交流がある俺は中立の立場を貫いている。
現状、問題を先送りにしているだけなのだが。
「総帥には俺から言っておく。他ならぬアンタからの要請とあれば喜んで俺を貸してくれるだろ」
「欲を言えばウチに欲しいくらいだけどね」
互いに苦笑すると、俺は先に席を立った。
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