暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
真実
[4/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
初めて表情を見せた。唇の端を歪め、ほのかな苦笑の色を浮かべる。
「予定では攻略が九十五層に達するまでは、明かさないつもりだったのだがな」
ゆっくりとプレイヤー達を見回し、笑みの色合いを超然としたもの
に変え、紅衣の聖騎士は実に堂々と宣言した。
「───確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君達を待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」
隣のアスナが軽くよろめき、キリトは視線をヒースクリフから逸らさぬままそれを右手で支える。
「………趣味がいいとは言えないぜ。最強のプレイヤーが一転最悪のラスボスか」
「なかなかいいシナリオだろう?盛り上がったと思うが、まさかたかが四分の三地点で看破されてしまうとはな。………君は私が警戒していた、三大不確定因子の一人だと思ってはいたが、ここまでとはな」
このゲームの開発者にして一万人の精神を虜囚とした男、茅場晶彦は見覚えのある薄い笑みを浮かべながらレンを、次いでヴォルティスを見る。
聖騎士ヒースクリフとしてのその容貌は、現実世界の茅場とは明らかに異なる。
だが、その無機質、金属質な気配は、二年前レン達の頭上に降臨した無貌のアバターと共通するところがある。
茅場は笑みをにじませたまま言葉を告げた。
「最終的に私の前に立つのは君だと予想していた。全十種存在するユニークスキルのうち、《二刀流》スキルは全てのプレイヤーの中で最大の反応速度を持つものに与えられ、その者が魔王に対する勇者の役割を担うはずだった勝つにせよ、負けるにせよ、な」
ここでヒースクリフは言葉を切り、どこか憎々しげな瞳でこちらを見る。
「………だがレン君。君のユニークスキル、《鋼糸》は私がデザインしたものではない。誰がデザインしたのかは、君にはもう分かっているだろう?」
急に話を振られてレンは頭が真っ白になりかけるが、思考の中ではその答えが出ている。
漆黒のタキシードを着た、この世界をコントロールしている真の神たる存在。
ヒースクリフは、その全てを見透かしたような真鍮色の瞳をふいっとレンから逸らすと、再びキリトに向き直った。
「だがキリト君、君は私の予想を超える力を見せてくれた。攻撃速度といい、その洞察力といい、な。まあ………この想定外の展開もネットワークRPGの醍醐味というべきかな………」
その時、凍りついたように動きを止めていたプレイヤーの中から一人のプレイヤーがゆっくりと立ち上がった。ギルド【神聖爵連盟】ギルドマスターであり、かつ六王の不動の第一席に居座る男。
《白銀の戦神》ヴォルティス。
その全身を覆う鎧と同色の白銀の短髪の下の純金の瞳に、形容しがたい色を浮かべている。
その口元が動き、吐き捨てるように言葉が漏れる。
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ