第1話 召喚されたのは女の子ですよ?
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安にさせる。そんな、非常に不安定な印象を美月に与えている少女で有った。
そして、服装に関しては召喚者と同じ衣装。白衣に緋色の袴。更に、白の足袋。日本の神社に仕える巫女そのものの姿形。
そしてその彼女が身体を動かす度に、……風に着物の裾が、袖が揺らされる度に奏でられる鈴の音色。
そう。その白衣の袖に、緋色の袴の裾に飾られている小さな鈴が、彼女が軽く身体を動かす度に微かな音色を奏で、それが、まるで周囲に清浄なる空間を発生させるが如き雰囲気を感じさせていたのだ。
いや、もしかすると、彼女が動く度に、何らかの形で、禍祓いが行われている可能性も有りましたか。
何故ならば、古来より、鈴の音と言う物は鬼……悪しき気が嫌う物のひとつとされて居るのですから。
しかし、成るほど。金髪碧眼の巫女と、黒髪、黒紅の瞳の巫女。期せずして、この召喚の儀式を執り行った聖域に相応しい二人の巫女の共演となったと言う事ですか。
「まぁ、審神者のタマちゃんが太鼓判を押したのだから問題はないか。それに、そもそも召喚状を貰っていない相手を召喚する事は出来ないはずなんだし」
少し……いや、かなりお気楽な雰囲気でそう独り言を呟くように台詞を口にした美月。
そして、
「それだったら、先ずは自己紹介からかな。アタシの名前は美月。ここ、白い光のリーダー。……と言っても、完全に名前負けで全員合わせても三百人もいない超零細コミュニティのリーダーなんだけどね」
少し、恥ずかしげにそう言う美月。
それから、自らの腕の中に存在する白猫を指し示し、
「この小さいのが白猫のタマ。特技は人語を解して、無駄口の海で溺れるぐらいかな」
……と言った。その瞬間、美月の腕の中で、何故か滑ってコケル真似をする白猫のタマ。
いや、そもそも、人語を解する段階で化け猫に分類しても良い存在と言うべきでしょう。
「誰が、無駄口の海で溺れるぐらいしか能がないんや、美月。ウチには、レッキとしたこのコミュニティの倉庫を根津魅から護ると言う重要な仕事が有るんやからな」
そう、関西弁風の口調で話し出す白猫のタマ。確かに、ネコがネズミの番をするのは理に適っています。古来より、猫が農村で飼われて居たのは、蓄えられた穀物などをネズミの害から護るため。
そして、タマと呼ばれた白猫がその職に就き、その上、人語を解すると言う事は、彼女はそれなりの神格を備えた猫神の眷属で有る可能性が高いと言う事でも有ります。
そして、その二人……。いや、自己紹介の終わった一人と一匹が、この召喚の現場となった屋敷の広間に立つ少女を見つめた。
そう。次なる行動を待つ為に。
しかし……
春の麗らかな表情で、そんな一人と彼女の腕の中に納まる一匹
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