第七章 銀の降臨祭
第二話 三匹がイク!!
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ゴーダの街は、四日後に迫る新年と、始祖の降臨祭により、妙に浮き足立つ様子が見られていた。街を歩く市民の姿も、厚着で埋もれた顔を綻ばせながら歩いている。高度三千メイルに位置する浮遊大陸のアルビオンの冬は早く、そして突然やってくるものであるのだ。
そんな街の中。連合軍が接収した宿屋の一室の中に、一人と一本の姿があった。明々と燃える暖炉の前で正座をするルイズは、壁に立てかけられたデルフリンガーに向き合っている。
「チャンスだと思うのよ」
「まあ、そうだろうな。ここにゃ、他の女がいないからな。今のところ相棒に言い寄る女の影は見えねえし」
暖炉の前、毛布を頭から被った姿のルイズが、デルフリンガーに真剣な顔をして言い募っている。デルフリンガーは首があればうんうんと頷きそうな勢いで相槌をうつ。
「それで、最近シロウ何だか元気がなさそうだし、ここで何かしてあげたいと思っているわけよ」
「ふむふむいい心がけだと思うが」
「だからいい考えない?」
「……相棒に頼み込んで俺っちを借りたのは、それが理由なのかい?」
溜め息混じりの声を上げるデルフリンガーを、ルイズは睨み付ける。
「ナニ? モンクアルノ? ごちゃごちゃ五月蝿いなら、溶鉱炉に投げ込むわよ」
「……へいへい……しかし、どうして俺に聞くんだ?」
「だってあなた、何時もシロウと一緒にいるじゃない。だからシロウについて色々知ってるんじゃないかと……」
もじもじと指先をつつき合わせながらブツブツと呟くルイズに、デルフリンガーは苦笑じみた声を返す。
「そう言うがねえ。俺だって相棒のことなんてほとんど知らねえよ」
「むぅ……でも、ほとんど何時も一緒にいるじゃない。少しぐらい何かないの?」
「とは言われてもねぇ……」
微妙にデルフリンガーの声のターンが下がっていったが、不意に小さく声を上げた。
「…………あっ……」
「何かあるの?」
それを敏感に聞き取ったルイズが、デルフリンガーを掴み顔を近づけた。
「何? 何? それは何なの? 早く教えなさいっ!! いいから教えなさいッ!!」
「分かった! 分かったから落ち着いてくれッ!!」
剣であるデルフリンガーは、掴んでくるルイズを遠ざけるための手も足もないため、好き放題にされてしまう。必死な声でルイズを落ち着かせたデルフリンガーは、やっとの思いで解放されると、呼吸をする必要がないにもかかわらず、ぜいぜいと息を切らす。
「ど、どうも、相棒は強く迫られると弱いように見えるんだが。お前さんも覚えがあるんじゃないのか?」
「確かに……弱いわね」
デルフリンガーの言葉に、ルイズは細い顎に指先を当て考え込む。
「でも、それじゃあ普段とあまり変わらないような」
「……何時も
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