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剣の丘に花は咲く 
第七章 銀の降臨祭
第二話 三匹がイク!!
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顔で報告を始めた。

「昨日、ド・ポワチエ将軍が率いる連合軍が、シティオブサウスゴーダの占領を完了したようです」
「それは良い知らせです。将軍には、わたくしの名で祝辞を送っていてください」
「わかりました。それとですな……」

 急に口ごもるマザリーニの言葉を、アンリエッタが引き継ぐ。

「悪い知らせ……ですね」
「はい。制圧前に、アルビオン軍はシティオブサウスゴーダの食料を徴収していたようです。そのため、食糧不足となった市民に対し、連合軍の兵糧から供出しました。結果。現在食料不足となっております。早急に兵糧の補給が必要です」

 アンリエッタは、ベールの下でグッと歯を噛み締めた。

「アルビオンの策……ですね」
「その通りでしょう」
「酷い話です」
「……それが戦争と言うものです」

 悲しみや怒りの欠片を見せることなく、淡々とした様子のマザリーニをアンリエッタは睨み付ける。

「そうですね……話は分かりました。手配をお願いします」
「かしこまりました。が、そろそろ国庫の残りが心配になってきております。現在も財務卿が、ガリアの大使に借金の申し込みをしております」

 マザリーニの言葉に、息を止めたアンリエッタは、一度大きく息を吸うと、

「いくらでも借金をすればいいのです。出来た借金は、アルビオンの財布から返せば……」
「……それなのですが、このままだと返済が遅れることになりそうです」
「どういうことですか?」

 顔を険しくしたマザリーニに、アンリエッタは怪訝な顔を向ける。

「アルビオンが降臨祭の終了までの期間を休戦にしたいと言ってきております」
「条約破りの言葉等信じられはしません! 例え降臨祭の間は戦は休むことが慣例であっても、そんなこと出来る筈がありません! それともあなたは信じられると言うのですかッ!? 恥知らずも学院の生徒を人質にとろうとした彼らをッ!?」

 侵攻艦隊が出発した翌日に発生したのは、魔法学院の生徒を狙った襲撃事件だった。幸い生徒たちに犠牲者は出なかったが、近衛隊の中に何人か犠牲者が出ている。犠牲者の中には、アンリエッタも面識のある者もいた。気立てのいい女性で、婚約者とこの戦争が終わったら結婚すると言っていた。
 先程までの落ち着いた様子を一変させ、掴みかかってきそうな程の勢いで迫るアンリエッタに対し、ただマザリーニは一瞥を寄越し、 

「それでも、我らはそれを受けなければなりません」

 厳しい声で告げる。

「何故ッ!?」

 絶叫するかのように叫ぶアンリエッタに対し、マザリーニは終始落ち着いた様子を見せている。

「現在のままですと、残りの兵糧では十日も持ちません。相手の言うことは信用はなりませんが、受けずとも郡は補給を受けなければ結
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