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剣の丘に花は咲く 
第七章 銀の降臨祭
第二話 三匹がイク!!
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うことね……名高い『魅惑の妖精亭』の看板娘が、落ちたものね……」
「あら? 恋に落ちるのに早い遅いなんてないんじゃないかしら?」

 うふふ……と笑い合う二人に挟まれた士郎が、助けを求めるように店内を見渡すが、視線が合う客全員から死ねとジェスチャーで示された上、無視されるはめとなった。最後の希望とばかりに、前に座るスカロンに視線を移すが、スカロンは麦酒をまるで水のようにガブガブと飲みながら、顔を逸らしている。

「でも、まさかあのシエスタがシロウにねえ……」
「何ですか。何か文句でもあると言うんですか?」
「いえ別にぃ……ただ、未通女なあなたが、シロウを喜ばせられるのかなって思ってね……」
「未通女……ですか……懐かしい言葉ですね」
「へぇ……そうなんだ……」
「ええ。昔とは違いますよ。色々と……ね……シロウさんと会ったのも、わたしの方がずっと早いですし……女にしてもらったのも……ね……」
「言うわね」
「言いますとも」

 やばいやばいやばいやばいやばい……こ・れ・は、ヤバイッ!!

 ふふふふふ……と笑う二人の様子に、士郎が脂汗を流しながら必死にスカロンに助けを求める。今にも泣きそうな目で訴えられたスカロンは、やれやれと首を振ると、呷っていた木のジョッキを音を立てテーブルの上に置いた。

「シロちゃんがいるということは、ルイズちゃんもいるんでしょ? 久しぶりに会いたいわ。シロちゃん案内してくれない?」
「あ、ああ! 行こう! 今すぐに行こう!」

 天の助けとばかりにスカロンの言葉に頷いた士郎は、ジェシカとシエスタを身体に引っ付けたまま立ち上がる。テーブルに代金を置くと、非難と殺意が混じった視線を背中に受けながら店の中から飛び出した。
 その選択が、過ちであるとは知らずに……。













「まあ、上がってくれ。中にルイズがいるはずなんだが……あれ? いない?」

 シエスタたちを連れた士郎は、自分たちが借りた宿屋の一室の中にスカロンたちを招き入れるが、部屋の中には、いると思っていたルイズの姿はなかった。ただ、部屋の中の暖炉の火は強く、外に出て行ったとしても、そんなに前の話ではないだろう。
 首を傾げながらも、しなだれかかるジェシカとシエスタを引きずりながら、士郎は部屋の中に入っていく。

「どうやらルイズちゃんはいないようね。どこに行ったのかしら?」
「そのようだが。おかしいな? 今日は寒いから部屋の中にずっといると言っていたんだが」

 士郎とスカロンが顔を見合わせ、ルイズの居場所を考えていると、両脇を固めていたシエスタとジェシカ士郎を引っ張り出した。

「ちょ、おい。どうした?」
「何時までも女性を立たせているのは問題じゃないかしら?」

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