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剣の丘に花は咲く 
第七章 銀の降臨祭
第二話 三匹がイク!!
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っ……何だと?」

 その言葉に息を飲んだ士郎は、顔を俯かせるシエスタに顔を近づける。

「知っていることだけでいい。教えてくれないか?」
「は、はい。賊が襲ってきたのは、シロウさんたちが学院から出発してからすぐにでした。賊の狙いは貴族の方達だけだったみたいで、わたし達使用人は、ずっと宿舎に隠れていましたので、無事だったのですが。ただ、学院に来ていた近衛隊の方達の何人かが亡くなった方がいると聞きました」
「生徒には?」
「そこまでは……」

 その時のことを思い出したのか、カタカタと震えだすシエスタの身体に手を回した士郎は、グッと力を込めて抱きしめた。腕の中で、シエスタの震えが段々と止まっていくのを感じながら、士郎は耳元で囁く。

「よく頑張ったな。無事で、本当によかった」
「シロウさん……はい……っ」

 涙で瞳を潤ましながら、シエスタは士郎の身体に回した手に更に力を込め強く抱きついた。暫らくそのままでいた士郎達だったが、そっと腕に込めていた力を緩めたシエスタが身体を離す。

「……だから、学院は戦争が終わるまで閉鎖になってしまったんです。それでその間、田舎に帰るかどうしようか迷っていたわたしに、叔父さんが店の手伝いをしないかと誘いを受けたんです」
「叔父さん?」

 シエスタの最後の言葉に何か引っかかるものを感じた士郎が、その言葉を口にする。すると、シエスタはうんと頷きながら顔を上げ、士郎の前に座る人物に声を掛けた。

「はい。スカロン叔父さんが、わたしの叔父ですけど?」
「……いや、まあ、まさかとは思っていたが……黒髪は珍しいし……しかし……そうか……」

 ハハハと乾いた笑みで笑う士郎を見て小首を傾げていたシエスタだが、そこでハッと顔を反対方向から士郎に抱きつくジェシカに顔を向ける。

「そ、そう言えばシロウさんは何でジェシカ達を知っているんですか? って言うかジェシカは何でシロウさんに抱きついているんですかッ!?」
「いや、今更それか?」

 驚愕の声を上げるシエスタに、士郎が呆れた顔を向けていると、士郎の胸に顔を埋めていたジェシカがゆっくりとした仕草で顔を上げる。

「何でって……それはシロウが好きだからに決まってるじゃない?」 
「す、好きって?! ちょ、ちょっと待って! どうしてっ……て、まさか……夏休みの時……」

 士郎を挟んで二人の少女が睨み合っている。
 驚愕の顔で目を見開くシエスタに、ジェシカがニヤリと笑う。

「その夏休みが何時かは知らないけど、一時シロウたちはウチの店で働いていたことがあってね。その時ちょっと……」
「……シロウさんたちが王都にいたのは、そんなに長い期間じゃなかった。ということはジェシカ。あなたそんな短い時間でシロウさんに落とされたってい
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