第七章 銀の降臨祭
第二話 三匹がイク!!
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に君みたいな可愛い子のお礼なら特にな」
「ッッッ!!??」
声を出すことも出来ず、ボッと一気に燃え上がる炎のように真っ赤に染まった少女に背を向けた士郎は、今度こそドアノブに手をかける。それを止める者はいなかった。士郎がいなくなった部屋の中、ペタンと腰が抜けるように床に座り込んだのは、亜麻色の髪を持つ少女だけでなく。
「す、すげぇ」
「ふわ、あ……」
「……ドキドキしてる」
先程まで騒いでいた子供たちもまた、床に座り込んでいた。
三人の顔は、少女と同じように赤く染まっていたが、
「……きゅ」
「姉ちゃん?」
「お姉ちゃん?」
「おねえたん?」
しかしそれは、
「きゅう」
「姉ちゃんッ!!」
「お姉ちゃんッ!?」
「おねえたん?」
姉である少女のものに比べれば、やはりまだまだであった。
奇妙な声を上げパタリと倒れた姉の姿に、子供たちが一斉に騒ぎ出す。姉の身体を三人が力を合わせ引きずってベッドまで連れて行こうとする中、姉である少女の顔は……幸せそうの緩んでいた。
士郎は今日五軒目の家から出ると、今までと同じように騒がしくなる家に背を向け歩き出す。まだまだ困っている人たちは大勢いるだろう。士郎は人手が足りず困っている人がいないか辺りを見回しながら歩いていると、後ろから突然声をかけられた。
「シロウさん!」
「シロウっ!」
駆け寄ってくる足音は二つ。その足音と気配に覚えがあった士郎が振り向くと、獲物に襲い掛かる肉食獣の如く両手を広げ飛びかかってくる影が二つ。
「し、シエスタっ?! ジェシカ!? 何故ここ――グハァッ!!?」
二人のボディプレスを同時に食らった士郎だが、その鍛え抜かれた強靭な肉体は何とかその衝撃に耐えることは……出来なかった。
二人の抱きつきに耐えられなかった士郎は、後ろに倒れながらも、二人に怪我をさせないよう腕を回すと、守るように強く抱きしめる。地面の上を滑り熱を持つ背中と、衝撃にたわむ内蔵を感じながら、地面に転がった士郎は、胸に抱いた元凶の二人を非難染みた目で見下ろし、
「何をするんだ二人共ッ!?」
文句を言うが。
「シロウさんシロウさんッ!」
「シロウシロウシロウッ! ん〜……この匂い……はあ……もうっ……うふふふふふ」
「駄目だ……聞こえていない」
犬だったら尻尾を千切れんばかりに振っていただろう二人は、士郎の胸に顔を埋めさせると、更にもっともっとと言うように顔を押し付けていた。二人がここにいる理由を知りたいのはやまやまだったが、それよりも早くこの状態をなんとかしなければならない。ここは天下の往来だ。今もジロジロと投げかけられる人の
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