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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
激戦のその後に
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 さすがにあちらは即開戦という気はないのだろう、従者としての立ち位置を保持している。

 オレの残存魔力は2割ほど。フェンサーももう一度宝具を解放出来るかどうか。
 激戦を終えた直後ゆえに余力など皆無で、対してセイバーの消耗など1割にも満たないはずだ。
 正直なところ、ここで向こうが戦闘開始しようものなら、勝機などまるで見えないまま戦うことになる。

 戦略的に見ればここで弱っている敵手を見逃すこともない。
 休戦も学園に潜む魔術師を討伐するまでという契約だ。学園の結界が消滅し間桐慎二が脱落した以上、ここでその協定自体白紙に戻してもいいのだから。

 つまり休戦協定はどこまで有効か。

 ここで休戦終了とみなし、戦闘すら辞さないこともありえるのか。

「確かに、好機を前にして退く必要はありませんね」
「お、おいセイバー!」
「彼らに戦闘意思があるというのなら応えるまででしょう」

 前言撤回。士郎はともかくとして、セイバーは事によればすぐにでも応戦するつもりだ。

 今をして好機と言わしめたのは、彼女がこちらの状態をほぼ正確に看破していることの証明でもある。
 敵に余力はない……仮にまだ何か手を残していたとしても、それは自分にとって脅威となり得るものではないと。

 ましてやそんな詳細な戦力分析をするまでもなく、オレとフェンサーはボロボロの状態である。
 戦闘者としてセイバーの判断は正しい。逆の立場であるならオレ自身、その選択をすることに否はない。

「────────」

 静かに、オレとフェンサーは最後の戦闘態勢に入る。

 正直立っているだけでも限界なのだが、意志力だけで痛みや疲れをねじ伏せる。
 現在の身体(回路)の状態からどこまでの魔力運用が可能かを想定し、フェンサーのそれも同じように確認する。

 どうあろうと撤退戦になるが、セイバーを振り切る算段がまるで思い当たらない。
 一番有効と思えるのは士郎の足止め、もしくはセイバーが離れれば死の危険があるという状況に追い込むこと。

 マスターである士郎の守護、存命に努めるのか、目前の敵の排除を優先するのか。
 危険因子であるオレたちをまず排除してから士郎の治療にあたることも考えられる。

 セイバーが主の生命危機に対して、どう動くかの予想が付かない。
 この作戦を実行できたとして、思惑通りに運ぶ確率はよくて5:5といったところか。

 二騎のサーヴァントは互いに牽制し合っている。
 火ぶたはまだ切られていないが、何か切っ掛けがあればすぐにでも剣を抜くだろう。
 どうあっても生き残る術など見当たらない……が、状況は決してオレたちに不利ではない。



「待ちなさい。此処(学園)でこれ以上の戦闘は許さない
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