第二十四話 少年期F
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とに目を背けるしかなかった、心の中で謝ることしかできなかった、そんな俺でさえも。
「……なぁ、リニス。俺ってさ、すげぇ変な奴だって言われたことがあるんだ」
「……?」
俺の脈絡もないいきなりの発言に、リニスは小首をかしげている。だよな、と思いながら俺はそのまま言葉を紡いでいく。リニスは賢い。もしかしたら俺が話す内容を理解してしまうかもしれない。けれど、彼女にはそれを周りに告げる術はない。ずるいなぁ、と思いながらも俺は言葉を止めることはしなかった。
「変なことをよくするし、言動も変らしい。しかもなんか勘違いもよくするらしいって昔友人に言われたんだ。しかもそいつに『お前実は宇宙人で、人類じゃなくて別の分類でも信じられる』とか何気にひどいことを言われたこともあった」
就職のための自己アピール文や面接用に、友人に俺ってどんなやつ? って率直に答えてもらった回答がこれである。お前は俺に就職するな、と言いたいのか。まぁ今現在は、確かに俺は普通に考えれば変な人間だろう。ほかの人たちとは違うんだし。
「そんな俺だけど、高い魔力に、レアスキルを持っていてさ。かわいい妹がいて、さらに母さんはSランクの魔導師で開発者で。父さんは有名な技術者ときた。……あやふやだけど知識もある」
後半は小声になったが、なんか自慢にも聞こえる。でも、間違いなく俺は恵まれている。そのおかげでこんな俺でも、できることはきっといっぱいあるのだろう。前世とは違う生き方だって目指していける。
「それでもさ、やっぱり俺って人間なんだよ」
俺にできる範囲なんて、世界から見れば本当に小さい。1つの家族を救うだけでも大変だった。死ぬことも失うことも犠牲にすることも、怯えて足を竦ませてしまう……ただの人間。
「助けてあげたい、って思っても俺にできることなんて限られていてさ。毛の生えた一般人に魔王様をはっ倒せ! なんて言われてできないと思うのと同じ。どうしてもやりとげなければ、っていう思いもなかったのならなおさらだ」
そう―――なのはさんたちを助けたいと思っていても、それを実現させるためにどれだけ大変なことだろうか。しかもアリシア達を助ける時とは、俺の思いの強さは段違いに違うのに。俺のせいだから、という責任感だけで動けるほど、できた性格でもなかった。
「しかも俺の両手には、もうアリシアや母さん、父さんにリニスにコーラル……っていっぱい抱え込んでしまっている」
絶対に零れ落ちてほしくない俺の宝物。それと同列に考えることはできない。だから、成功したら御の字なんて考え方ができていたのだ。失敗したって、俺の宝物は無事だから。
「俺の両手にはこれ以上抱えられるほどの容量なんてなくて、入れようにも今あるものを落としたくないからそんなこ
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