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少女1人>リリカルマジカル
第二十四話 少年期F
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え、結局これはなんだって? 見ての通りお守りですよ」

 リニスが俺の持っているものは何か、とぺしっと手を軽く叩いてきた。別に隠すものでもないので素直に答える。なによりもようやく出来た物なので、ちょっと見せびらかせたい気持ちもあったのだ。だって俺マジで不器用なんだよ。「家庭科」の成績とか2or3で争っていたんだぜ……10段階評価で。中学には留年やら単位がなかったのが本当に救いだった。

「特に頑張ったのはここ、半返し縫いしているところだ。端末で調べたら丈夫になるって書いていたから頑張ったんだぜ。さらに刺繍もしてみてさ。形も工夫してみたんだけど、どう?」

 少しずつ製作をして、小さなものとはいえそれぞれ色を分けて6つも作ったのだ。家族の誰もが俺の不器用さを知っているので、きちんと完成品として出来上がったということに自分でも驚いている。そんなすごく頑張った俺のお守りを一瞥したリニスからの反応は―――

「―――ふッ」
「……あの、リニスさん。今鼻で笑った? 下手って言いたいの? ねぇ、さすがに俺も泣くよ?」

 いつも通り情け容赦のないリニスさんでした。


「うん、これでよし」

 数分後。どん底から這い上がった俺は、コーラルにずっと預かってもらっていたものを箱から取り出す。今日コーラルが出かける前に、出しておいてもらって正解だったな。俺は小さな箱からいくつかのかけらを手に取り、メイドin俺のお守り袋の中へ入れていく。

 あの事故の日に砕けてしまったウサギの石。母さん達から譲り受けたものを、俺はできる限り均等になるように袋詰めしていく。俺の分にアリシア、母さんに父さん、リニスの分に……と作られたお守り。もともと石のかけらの量も少なかったため、かなり小ぶりなものになってしまった。

 石をもらった当初から、こうしようと考えていた。理由の1つとしては、本当にお守りとしての効果を期待してだったりする。なんかこう、ご利益がありそうな気がするし。そんなことを思いながら、俺は石の入った黄色いお守り袋を1つ持ち上げ見つめる。太陽に照らされ、光がお守り袋を通して目に入る。ほのかにあたたかい黄色い光。

『……もしかしたら、ますたー達のことを代わりに守ってくれたのかもしれませんね』

 事故から数日たったあの日のことを思い出す。コーラルから告げられた言葉は俺の中にすとん、と入り込んだ。俺たちが生きている代わりに。それは奇しくも、俺に1人の少女の存在を思い出させるのに十分だった。

 運命の分かれ道で聞こえた「諦めるな」という声。ただ単に、俺が被害妄想を爆発させていただけだったのかもしれない。それでももしかしたら、本当に守ってくれたのかもしれないって。俺と妹の背中を、優しい彼女は押してくれたのかもしれない。

 彼女のこ
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