第二十四話 少年期F
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めんどくさいという心境になってしまった。もう俺がなんとかするしかないのなら、とにかくやれ、で自己完結してしまったのだ。
正直に告白すると、俺がなのはさんたちを救いたいと思った大元は、俺自身が罪悪感につぶされたくなかった、という自己保身だったのだ。彼女たちの幸せも願っていたが、それ以上に俺が間接的に殺してしまう事実に恐れていた。だから、成功したら御の字。もし失敗しても、俺なりになのはさんたちを救おうと頑張った、と自分自身に言い訳ができる。うん、本当に最低だと思う。
こんなことを思っていた俺に、救われて嬉しいと思う人がいるだろうか。その考えがもうないかと言われれば、絶対ないとは言えない。それでも負に向いていた決意が、確かな覚悟に変えられたのはみんなのおかげだと思っている。そしてなによりも、彼女への思い。こんなのただの一方通行だってわかっているけど、これ以上ないほどに彼女は、俺に新しい道を示してくれたんだ。
******
「……よし、できた」
「にゃ?」
なかなかうまくできたんじゃね? と今までの苦労を思い返しながら、俺は感動を噛みしめていた。そんな俺の様子にリニスが不思議そうに近寄ってきて、俺の手の中のものを覗き込んでいる。ふふふ……苦しゅうない、俺の努力の結晶を遠慮なく見たまえ。
現在もお世話になっている施設にある俺たちの家。俺はベランダの窓を開けて、足をぶらぶらさせながら座り、プチ解放感を味わいながら作業をしていた。それにしても、ここともあともう少しでお別れか……と思うとちょっと寂しく感じる。思えば半年近くもお世話になったんだよなぁ。しみじみ。
母さんとアリシア、さらにコーラルは現在家にいない。2人は買い物に出かけたのだが、ついでに不動産屋も回るつもりらしい。コーラルはそのサポートというか情報バンクとして連れて行かれたのだ。ほんと俺のデバイスって……。
まぁそんなわけで、ちょっとやりたいことのあった俺と、ごろごろしていたいリニスがお留守番組となったのである。リニスってアクティブだけど、いつもそんな感じではなかったりする。お昼寝が大好きだし、そこらへんに転がっていることもあるのだ。一応女の子なんだから、ソファの上とかで転がりなさいとは言っているが。
「そういえば、俺とリニスが2人きりになる機会って全然なかった気がするね」
「ふみゃぁー」
「OK。その大あくびのおかげで、リニスにとってどうでもいいことなんだとわかった」
このにゃんこ、相変わらず我が道を行くな。そうですか、俺との2人きりは特に思うことなしですか。いや、昔を考えればこうして2人きりでいられるだけ良くなっているのか? 前なんてしゃべりかけるだけで威嚇されていたしなー、あはは……。
「にゃう」
「
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